オフシーズンになると、契約更新、移籍などの話題でもりだくさんになります。
さて、この時期に取り交わされる用語を、少し勉強したいと思います。
まちがっていたら、ご指摘ください。
日本でもっとNFLが浸透しますように。
まず日本のプロ野球の例を説明します
フリーエージェントというのは、どのチームとも自由に契約ができる状態をさします。英語にするとFree Agent となります。「Agent」とは「代理・周旋」という意味です。
つまり誰でも制約がなくフリーに契約交渉ができる状態にあったという意味です。NFLのFAを説明する前に、日本のプロ野球でのFAの状況を解説します。そして比較してもらえると、特徴がわかりやすいと思います。
【昔の日本プロ野球にはFA制度がなかった】
今ではすごく当たり前の話なのですが、昔日本プロ野球ではこの権利が選手側にありませんでした。NPBにFA制度が導入されたのが1993年で、なんと今から27年前です。それまで選手は球団から解雇されるまで、他球団と契約することはなかったんですね。
これを球団側に都合がいい制度だとして、選手側の権利が剥奪された奴隷契約だと問題視する声が高まりました。そしてMLBの真似をする形で、ようやく1993年に日本でも導入されました。
【FA権利が発生する期間に長い縛りがある】
しかしFA権が得られるまでに大変長い縛りがあります。1年間145試合出場を9回行った選手のみが、FA宣言できるという長い道のりです。また「FA宣言する=いまのチームから出たい!」を意味しますので、既存チームとの契約更新は期待できない文化があります。
【FA宣言は諸刃の剣】
怖いのは、FA宣言したところで自分が望む評価を出してくれる球団がない場合です。プロスポーツマンとして給料が欲しくとも、契約できなければプータローです。大学も出てない社会人経験もない人間ですから、企業で働くのも厳しい。生活が激変してしまいます。
そのため、FA宣言する選手というのは、ある意味では「他と契約できるほど、優秀でマーケットで優位にある選手」になります。まぁそりゃ9シーズンも145試合出続ける時点で、優秀なわけですがね。
【案外少ないFA宣言選手たち】
そんなわけで現在プロ野球界でFA宣言したのは216人しかいません。27年間での人数ですから年間8人くらいです。NPBは12球団ありますから非常に少ないわけです。
27年前にFA制度を実装しましたが事実上、選手の移籍については、基本選手に権利がありません。人事権はチームが独占しているというのが日本プロ野球界の現実です。
NFLのFA制度の条件はどうか
プロスポーツの本場、アメリカではどうかという話をします。アメリカではFA宣言というものは存在せず、契約期間が満了したら、どの選手であれ自動的にFA選手となります。
基本的にすべての選手はそもそもFree Agents状態だということです。個人の自由と権利を尊ぶアメリカらしいと言えます。
NFLでは毎年720人ぐらいが、FA市場にでてきます
日本では毎年8人程度ですが、アメリカでは720人程度が毎年FA市場にでてきます。これは圧倒的な人的流動性です。これがためにチームの状態が変化し、パワーバランスが大きく動くのです。
選手とチームは自由契約が基本ですので、強い選手は他に大金を積んでくれるチームと交渉ができます。なので普段の練習にも圧倒的に力が入りますし、試合になるとアドレナリンを出しまくって望みます。
またそんな状況にあるので、若手の選手であってもどんどん昇ってきます。ぼちぼちの成績しか出せなければ、ポジションを奪われますから、皆が切磋琢磨します。NFLでは球団の支配権を犠牲にするかわりに、健全な競争が守られて、リーグの活性化を手に入れているんですね。
【優先交渉権】所属チームに許された権利
そうは言っても、アメリカにも球団側にも権利があります。だいたいドラフトで指名されたら、1巡の選手は4年契約。その他は3年というのが通例です。その契約期間が満了したらフリーになります。
フリーになるタイミングは、今年でいうと3月16日です。それまで他のチームは交渉に手出しできません。しかし現所属チームに優先交渉権がありますので、どのタイミングでも現選手と契約延長について交渉可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。個人の自由が尊重されるNFLと球団に支配権が大い日本プロ野球。非常に対照的だなという印象を受けました。
少しややこしい「RFA(制限付きFA)」と「UFA(無制限FA)」については、下記の記事をご参考ください。