2030年まで有効となる、団体労働協約(Collective Bargaining Agreement)が、NFLと選手側で締結されました。
【こちらがNFL PA(選手会)のウェブサイトです。】
今回の記事では、それによって何が変わるかを、ピックアップしたいと思います。
日本でもっとNFLが浸透しますように。
大変更点1 レギュラーシーズンが17試合に
さて今回のCBAでもっとも大きな変更点の一つが、レギュラーシーズンの試合数増加です。以前、スーパーボウルの視聴率を調査した記事を書きましたが、レギュラーシーズンも本当に人気なのです。
特に全米生中継のSNF(Sunday Night Football)は9年連続で全米で最も観られた大人気番組です。この番組は年間平均で2000万人の視聴者数だと発表されています。17週間試合があるので年間3億4000万人の視聴者数がいるモンスター番組なんですね。レギュラーシーズンがひとつ増えるということは、視聴者数がもう1枠ずつ増えることになります。これはすごいことです。
ちなみに、レギュラーシーズンでは
(NBC)サンデー・ナイト・フットボールが2000万人
(NFLネットワーク)サーズデー・ナイト・フットボールが1540万人
(ESPN)マンデー・ナイト・フットボールが1260万人
という順番で視聴者数が多いようです。どれも全米中継されるゲームなので、やはり人気が高いのでしょうね。
影響1 プレシーズンがひとつ減ります。
レギュラーシーズンが一つ増えることで、選手の怪我の危険が増えます。肉体的な疲労も厳しいですからね。これはよく分かる展開です。それにプレシーズンマッチって、あまり重視されてないし、どちらかいうと練習試合みたいになってますしね。
影響2 スーパーボウルの開催日が1週ずれる可能性あり
現在の仕組みでは、一週間休みのバイウィークを挟んで、Week17まで開催されてます。NFLのレギュラーシーズン開催日は9月最初の木曜日になってます。これが早まることはないらしいです。
どうも、先代コミッショナーのポール・タグリアブー時代に決めた習慣のようですね。これによって視聴者数も随分改善されたらしいので、変えるつもりはないようです。
スタートが変わらないなら、ところてん方式で終わりが遅れる。去年までだと大晦日には終わっていたんですが、これからは1月に突入します。プレーオフのスタートも合わせて遅れることになりますから、きっとスーパーボウルの開催日はずれ込むだろうと僕は思います。(新型コロナウイルスの影響でドラフトも延期になりましたね)
影響3 ヘルメットの安全性は追求研究される
脳震盪問題はNFLの人気と表裏一体です。現在コミッショナーのロジャー・グッデルが最も重視している課題であり、逐次改善に努めています。さて、レギュラーシーズンのゲームがひとつ増えることで、当然選手の怪我の危険は比例的に増加します。
そういう背景があるので、今回の1試合増加という提案は、本来であれば選手会側は拒否したい話なのです。しかし、ヘルメットの安全性向上がワシントン大学で進み、またNFL側もルール変更を随時行っています。コンタクトスポーツ(またはコリジョンスポーツ)のフットボールは少しずつではありますが、改善に向かっています。
その危険と安全のバランスのせめぎあいが今回の1試合増加という決断です。危険度が増せば同時に安全も追求していく必要があります。これからもヘルメットの進化、防具の進化、ルールの進化は行われてくと予想します。
大変更点2 プレーオフ出場枠が1つずつ増えます
1試合増加というだけでなく、プレーオフ枠が各カンファレンスごと1つずつ増えることが決定されました。プレーオフは一度負けたら終わりのサドンデスゲーム。もし勝利できたら夢のスーパーボウルチケットがゲットできる。まさに天国ゾーンです。
当然プレーオフ進出できれば地域のボルテージはあがります。視聴率も増加。チケットも売れてグッズも売れます。リーグとしては売上向上が見込める素晴らしいアイデアです。
影響1 レギュラーシーズンが加熱に
現在4つの地区の優勝者、さらに惜敗率の高い2チームがワイルドカードでプレーオフに進めます。当然ながら今回はワイルドカードチームを一つ増やすというアイデアです。
これにより、あと一歩で出場できたであろうチームにもチャンスが生まれます。そうなるとレギュラーシーズン最後のゲームにも熱が入ります。というのは惜敗率3位というのは、結構多いからです。最後のゲームがその分水嶺になる可能性が高いです。
影響2 ワイルドカードは3ゲームに
これが2020年のプレーオフピクチャーになります。今まではカンファレンス1位と2位の2チームが試合数少なかったんですが、今後は1位のみが楽をできます。2位も3位も4位も同じくワイルドカードにでなくちゃいけなくなります。
これは結構大きな出来事です。さきほど「最後のワイルドカード争い」でレギュラーシーズンが加熱すると説明しましたが、同時に「地区1位争い」でも加熱します。今までと価値が大きく変わるからです。フットボールというスポーツ、特にNFLという苛烈なリーグで1週間休めがあるというのは、本当に違うと思います。
大変更点3 上記ふたつによる関連影響点
さて、これら2つの大変更点により他の波及効果もあります。というよりも、これら2項目を実現するための、選手会側の取引条件みたいなものです。
影響1 NFLの収入の48.8%が選手に分配されます
先程説明した通りですが、レギュラーシーズンが1試合増え、またプレーオフ枠が一つ増えることで、最後までリーグへの注目度が最後まで高まります。数の増加と質の向上により、指数的にリーグの収入が増えることになります。
この売上拡大に貢献しているのは、当然ながら選手の犠牲なわけです。だからこそ、選手会としてはベースアップを要求されました。つまりサラリーキャップの拡大という意味でしょう。僕の英語の読み方が間違えて無ければ、48.8%が選手の取り分。その他がリーグの取り分ということになりそうです。
影響2 ロースター枠が増加されます
現在ロースターは53人と決まっています。上記の関係で怪我のリスクが高まります。ですので、ロースター枠に入れる人数を二人増やし、55人になったそうです。
これにより、少しだけ選手一人ずつの負担が軽減され、もし怪我で戦えなくなっても、チームは頑張れることになります。これは大変献身的なルール変更だと思います。お金を要求するのでなく、チームの勝利のため、もしくは努力してる選手へ成功への門戸を広げるためと思えます。
まとめ
さて以上で終わりたいと思います。英語を読みながら記事を書いてますので、間違えていることがあれば、教えてくれると幸いです。
ともあれ、これからの新時代に向けてのリーグ運営改変。リーグ側も相当議論を重ねての結果だと思います。より素晴らしいNFLが構築されるんでしょう。いつだって歴史を塗り替えてきたNFLに今後も期待したいですね。