NFLのオフシーズンの楽しみといえば、FA選手の契約更新や、トレードなどによる人事異動です。
NFLでは選手の給料合計の天井が制限されるサラリーキャップが厳密に決まっています。この給料更新というのは同時に組織構成に大きく影響するようになります。
そのオフシーズンでよく出てくる単語、「フランチャイズタグ」について今回は解説したいと思います。
日本でもっとNFLが浸透しますように。
フランチャイズタグの概要
フランチャイズタグは、一言でいうと「1年間だけ移籍しないでね」という契約のことです。
NFLではドラフト指名された選手は3年間はチームと契約をします。そして4年目になるころにRFAか、UFAになるかの2択になります。
しかし1巡指名選手や、将来有望と見込まれた大卒若手選手は、ルーキーですが4年契約を締結します。そういう選手は、契約期間満了と共にUFA選手になります。
仮にその選手が主力級の活躍を見せているとします。その選手はチームづくりの核になってるはずなので、他のチームに引き抜かれてしまうと大損です。何とかチームに残留して欲しい。しかし、選手側も自分の市場価値については十分理解していますから、交渉には強い姿勢で望んでくるわけです。ということで、チームは継続契約するのに大枚を積まないとなりません。
しかし、残ってて欲しいけど、大枚積むほどの確信が持てないときもありますし、議論がまとまらない可能性もあります。そういうときに、使えるのが「フランチャイズタグ」です。
「きみ、長期契約はまだ約束できないけど、あと1年だけ延長してくれんか?」、こういう内容いう内容です。
フランチャイズタグのルール
このフランチャイズタグは、チーム側に有利な契約です。本来であれば、BIGマネーをつかめる選手が、1年間またテストされるわけですからね。
この1年の間に、大きな怪我でもしたら、シーズンオフに大きな契約はできないわけです。優秀な選手からすると、本当あまり得しない契約なんですね。
でも、選手側に犠牲を強いるばかりではフェアじゃないので、フランチャイズタグには下記のような内容の縛りがあります。
①1シーズンオフにつき、1チームで1人だけ指定可能
②フランチャイズ・タグを貼り付けた場合、年俸をNFLトップレベルまで上げなくてはならない(NFL全体の当該ポジションの年俸トップ5の平均額か、本人の前年年俸の120%のうち、高い方)
③タグの効果として、FA権を持った選手の他チームとの交渉を禁止したり(exclusive franchise tag)、他のチームと契約合意した場合でも現チームが同じ条件を提示すれば引き留めができる(non-exclusive franchise tag)
年俸をNFLトップクラスまで上げなくてはならないというのはサラリーキャップ制があるNFLではかなり厳しい条件で、そのためどうしても引き留めたい選手にしか使われないってわけですよね。