アメリカン・フットボールの春季リーグとして、2019年の3月から新リーグ「AAF」(アライアンス・オブ・アメリカン・フットボール)が開幕していました。アメリカでは、今までも新しいリーグ創設の取り組みが何度もあったそうです。NFL人気にあやかって、二匹目のドジョウを狙いに行ったものの、かつて誰も成功してないんですね。
結構な期待値でスタートしていた「AAF」
この新設リーグには往年のNFL名選手が立ち上げに協力しておりました。GMにはピッツバーグ・スティーラーズのSトロイ・ポラマル、アドバイザーにはWRハインツ・ウォードらが名を連ね、ベアーズのLBマイク・シングレタリーがHCをするなど、かなりのメンツが脇を固めていました。
またNFL全体1位指名で都落ちしていた、QBジョニー・マンジールもチームに所属しておりました。いろいろな事情の中でNFLと継続契約ができないものの、実力は折り紙付きという選手も集まり、NFLのマイナーリーグ、ある種の敗者復活戦的な意味合いでも、存在価値が高まっており、「新リーグ!今度ばかりはいけんじゃねぇ?!」ということで、期待感を込めてAAFがスタートしたわけです。
しかし開始2週間で突然の資金難到来
しかし、そんな期待を余所目に、AAFはスタートしてたちまち資金繰りに困難。リーグを運営する人件費の支払いに困窮しました。また問題は資金だけではありませんでした。NFLの育成期間としての立ち位置を目指したものの、NFL側はオフシーズンに若手選手、練習生(プラクティス・スクワッド)を別リーグに貸すことは労使協定上不義であると要求を突っぱねたのです。よって新リーグは経営資源となる「カネ」「ヒト」の両方を担保できなくなったのです。
結果、このような背景のもと、創業者のトム・ダンドンさんは、シーズン半ばの8週目にパンクを宣言したということです。
被害者を被った選手たち
選手たちは、チームと契約を交わしていたものの、支払いは未払いも多かったみたい。最大で2000万円を超える年俸を結んでいた選手もいたらしいけど、支払いは出場した8週分のみ。急にリーグが終わって、「明日からアパートから出て行け。帰りの飛行機代は自腹ね」って、さすがに厳しい現実だよね。でも、無いものは無いんだもの・・・。
「ゲームに出場した。腕を骨折した。リーグは24時間から48時間以内に消滅だ。チームのアパートから追い出された。アパートを捜さなければならない。こんな酷いことを人間に対して、してはならないはずだ」 pic.twitter.com/ss1YbqLXXG
— Touchdown (@TouchdownNet) 2019年4月4日
最後の1行は言い過ぎかも知れないけどね。選手としてはとてつもないショック。新リーグで人生かけるっていうのも、選手本人も納得づくのリスクだから、仕方ないっちゃ仕方ないけども、それでも上手く行かなったことに同情の念があふれるよね。
Johnny Manziel Head Injury | AAF Week 8
これは新リーグに期待を込めて、人生をかけて乗り込んできたQBジョニー・マンジール。脳震盪を負う怪我をしてる動画。本当に、マンジールってNFL来てから、人生絶不調だなー・・・・南無阿弥陀仏。
If you’re an AAF player and the league does dissolve. The last check you got will be the last one that you get. No lawsuit or anything else will get you your bread. Save your money and keep your head up. It’s the only choice at this point unless something drastic happens.
— Johnny Manziel (@JManziel2) 2019年4月2日
彼もまたリーグ解散についてTwitterでコメント。「裁判したってどうせ金もらえないんだから、文句言わず前向きにいくわ!」 というような事が書いてる。
だけどNFLに拾ってもらった選手もいる。
憂き目にあった選手もいれば、日の目を見た選手もいました。彼はキース・リーサー。CBとしてカンザスシティ・チーフスと契約が決定しました。かつて49ersでプレイし、KCと2年契約してたドラフト5巡の選手でしたが、継続契約ができずAAFに転がってきた選手でした。パチンコでいうと「時短であたった!」みたいな感じだよね。本当に良かったねぇ・・・。
まだ未契約だけど注目浴びてる選手たち
Alliance of American Football | Orlando Apollos - Wide Receiver Charles Johnson
彼は8週間でトータル834ydsのレシーブをしたWRチャールズ・ジョンソン。NFLレベルではどうか知らんけど、それでも能力が高いのは認められてて、スカウトは無視してないと思う。
Salt Lake Stallions' Karter Schult Sacks Iron QB Luis Perez
DEのカーター・シュルト。もともとパンサーズでプレイしてた人物です。彼もまた「俺まだ終わってねぇから!」というメッセージを発信できたでしょう。
Trent Richardson Full Highlights vs. Legends | AAF Week 3
ドラフト全体3位だったRBトレント・リチャードソンもAAFで燃料が満タンなのをPRできたようです。RB業界で苦心してるスカウトマンらは、彼をウォッチしてることでしょう。
まとめ
と、いうわけで、新リーグはやっぱり終わりました。まるで鳥人間コンテストの絶対王者大木さんのフライトのように、真っ逆さまな急降下。期待感が大きかっただけに、ガッカリしている人も多いんだろうなー。
というわけで。AAFの諸々ニュースでした。もう一つのリーグXFLは是非ともNFLの亜流変化として大成功してほしいなと思います。頑張れ!マクマホン!