ついにスーパーボウルが始まり、そして終わりました。これで2018年シーズンが完全に決着となりました。
最終スコアは13-3という歴代最低の得点結果になりました。解説に同席していたピース綾部さんは「素人目からすると、互いに点が入る展開を期待します」という意見でした。
これには、僕も全く同感でしたね。ハイレベルな戦いの結果、タッチダウンが生まれない結果になってて、プロセスだけ見ると素晴らしい戦いなんですが、やっぱりゲームですから、得点シーンが観たい。これは誰でも同じかなと思います。
なにせラムズもペイトリオッツも、強いオフェンスが武器のチームです。まさかこんな展開になるとは、予想だにしていませんでした。だからなおさら、ゲームを期待してみていた部分がありましたからね。
とはいえゲーム自体はやっぱり素晴らしかったです。ギリギリの展開。緊張の糸が緩むと、あっという間にゲームモメンタムが相手に移る。まるで剣の達人同士がにらみ合うような息を呑む名勝負でした。6度目の優勝を飾ったペイトリオッツには賞賛しかございません。
さて、NFL史上最低のロースコアゲームとなった、ペイトリオッツvsラムズの第53回スーパーボウルを振り返ってみます。(今回記事が増長になってしまいすいません)
- 第1Q互いにレッドゾーンを奪えないD#勝負
- 第2Q 史上2番目のロースコアで前半が終わる
- 第3Q 見事なパンター勝負!O#の背中を押すスペシャルチーム。
- 第4Q やっとタッチダウン!ゲームを決定づけたCBギルモア
- ①14:57 4th&4 またもミラクルパントのライアン・アレン
- ②13:51 RBアンダーソンがボールをファンブル。命拾いするラムズ
- ③7:38 TEグロンコウスキ 敵陣2ydsで見事キャッチ、タッチダウンチャンス
- ④7:00 RBソニー・ミシェルがタッチダウン!10-3
- ⑤5:02 1st &10 敵陣44ydsに迫るラムズにも得点チャンス到来
- ⑥4:29 1st&10 ブランディン・クックスへのタッチダウンパス!
- ⑦4:24 2nd&10 何と再度同じプレイ!これを・・・ギルモア!インターセプト!
- ⑧2:34 敵陣30ydsまで迫るペイトリオッツ
- ⑨2:00 3rd&1 見事に水際で止めるラムズD#
- ⑩1:16 ゴストウスキが41ydsトライのFGをきっちり決める。
- ⑪0:08 2nd&10 Kズーライン,48ydsFGがハズレる
- まとめ
第1Q互いにレッドゾーンを奪えないD#勝負
①キックオフはラムズから、リターンはペイトリオッツのWRコーダレル・パターソン。
かなり巨大なレシーバーが、早速快足を魅せてくれた。祭りの幕が開いた。その後のファーストドライブ、RBソニー・ミシェルが1stダウン獲得。どうもペイトリオッツが強そう。ラムズD#は浮足立っているようにも見えた立ち上がり。
②クリス・ホーガンに投げたパスをLBリトルトンが見事インターセプト!
このままペイトリオッツがファーストドライブをものにするか!と思った展開でしたが、3つ目のプレイでターンオーバーが決まりました。WRクリス・ホーガンをマークしていたラムズのDBロビー・コールマン#23が見事パスディフェンス。浮いたボールをLBリトルトンがしっかりキャッチして、ラムズが勢いを取り戻します。
③1Q 5:39 名手Kゴストウスキが42ydsFGを外す
ゴフは1stダウン奪えず。ペイトリオッツD#も強い。自陣25ydsでスタートしたドライブを敵陣30ydsまで進める。しかしラムズD#も水際でブレイディを抑えました。4thダウンでKゴストウスキが登場。42ydsトライのFG。いつもなら難なく決める距離でした。しかし、スーパーボウル。ゴストウスキは外してしまいます。勝利の女神がラムズに微笑んでいるのでは?誰もがそう思った瞬間です。
④1Q 3:40 敵陣42ydsまで攻めるもラムズ1stダウン奪えず
この流れでいよいよタッチダウンを奪ってくれ。と願いを込めてましたが、3rdダウン3の展開を、ゴフは決められませんでした。SSパトリック・チャン、さすがです。3rdダウン成功率は未だ0%。ペイトリオッツD#も集中力が半端ない感じ。あえなくパント。返す刀のペイトリオッツO#も、エデルマン、グロンコウスキを使って敵陣に迫りますが、これまたうまく行かず。パント合戦です。
第2Q 史上2番目のロースコアで前半が終わる
①2Q 15:00 自陣9ydsからラムズ攻撃。しかし進めずターンオーバー。
②2Q 12:38 ワイドオープンのWRエデルマンにロングパス成功!
一気に敵陣30ydsに迫るペイトリオッツ。ついにタッチダウンか?と思われるも、やっぱり3rdダウンコンバージョンでラムズD#に止められる。
③2Q 10:33 二度目の正直。FGをゴストウスキがしっかり決め3-0
今度も42ydsトライ。左ポールギリギリをすり抜けるキックでヒヤヒヤしましたが、しっかり決めました。これを外していたら、ゴストウスキは試合後すぐに首になっていたでしょう。
④2Q 9:43 サイドラインギリギリのボールをWRロバート・ウッズがミラクルキャッチ
3点差を追いかけるラムズO#。時間はまだ余裕があるものの、しっかりゲームを掌握したい。D#チームは相手を抑えているが、O#チームはいいところを見せられてない。ここらで一発勝負を。という状況でWRロバート・ウッズが素晴らしいキャッチを魅せてくれました。
⑤2Q 8:02 ロングパスはジェイソン・マコーティに阻まれ失敗
苦しいラムズO#。50ydsから一気に20ydsまで攻め込むロングパスを試みるも、WRはペイトリオッツCBジェイソン・マコーティを抜けず。難なくパスD#され、またも1stダウンが奪えずパントに。
⑥2Q 1:13 FGを選ばずギャンブル!ラムズLB陣が見事阻止!
FGレンジに入ってきたペイトリオッツO#。簡単には1stダウンを与えないラムズD#。4th-1ydsの展開で、ペイトリオッツはパスプレイを選択。得意のウエストコーストO#でしたが、DCウェイド・フィリップスが鍛えたLB陣が見事パスを阻止。これでいいボール位置でターンオーバー。リズムに乗れないQBブレイディ。
⑦2Q 1: 08 LBハイタワーがゴフをサック!
ラムズO#もリズムに乗れないです。OLがスクリメージラインを掌握できず、ペイトリオッツのLB陣がゴフに襲いかかります。中央から飛んできたLBドンタ・ハイタワーが、QBジャレッド・ゴフをキャッチ。パスプロが保てないラムズO#はどうしてもパスが荒くなります。なかなか調子に乗れず前半が終わりました。
第3Q 見事なパンター勝負!O#の背中を押すスペシャルチーム。
①10:11 素晴らしいパントを魅せたパッツのPライアン・アレン
ラムズO#からスタートした第3Q。RBトッド・ガーリーがようやく1stダウンを奪い膠着した展開から変わるか、と期待するもやはりパッツD#が堅い。ターンオーバーをするもラムズD#も堅い。互いに攻めきれずペイトリオッツのパント。これがラムズ陣3ydsあたりに見事着地!なんというミラクルパントか。100点満点。いや120点満点。
②8:50 ジョニー・ヘッカーのパントがスーパーボウル記録
4th6、自陣4ydsからのパントを任されたラムズのPヘッカー。これがまぁ見事なパントになった。高く蹴り上げられたボールは40ydsあたりに落下。力強く前に跳ね、サイドラインを転がる。結果、ヘッカーのパントはペイトリオッツ陣30ydsを超えたところで止まった。ヘッカーのパントはなんと70yds以上を記録。スーパーボウルレコードとなった。
③6:50 WRクリス・ホーガン またもCBマーカス・ピータースに阻まれる
一気にゲームをもっていきたいペイトリオッツ。しかしラムズD#の集中力がきれることがない。CBのマーカス・ピータースは初めてのスーパーボウルにも関わらず、高いレベルでプレイし続けている。クリスホーガンにぴったりとマークし、ブレイディのボールをしっかりとD#。いいプレイです。
④4:23 3rd&7でゴフがRウッズ#17にロングパス成功!敵陣30ydsに迫る
ついにラムズにチャンス到来。クックスが見事マークを振り切り、ゴフの速いボールをパスキャッチ。なかなか攻めきれなかったラムズO#が初めてFGレンジに入ってきた。
⑤3:37 1st&10 エンドゾーンにタッチダウンパス!しかしマコーティが阻止
一気にタッチダウンを奪いに来たゴフ。ターゲットはエースWRブランディン・クックス。完全にフリーでした!これは決まった!と誰もが思った矢先、ペイトリオッツのCBジェイソン・マコーティが物凄い勢いで走り込んできて、パスを阻止。これは悔しい!
⑥2:50 ラストチャンスをLBハイタワーが潰す
3rdダウン、もう一度エンドゾーンを狙いに来るQBゴフに襲いかかったのは、またもLBドンタ・ハイタワー。値千金のQBサックでした。これでラムズはチャンスをものにできず、Kズーラインの53ydsFGでドライブを終えることになりました。その後、ペイトリオッツのドライブもありますが、結局D#がしっかりとめて、最終クォーターに3-3で突入です。
第4Q やっとタッチダウン!ゲームを決定づけたCBギルモア
①14:57 4th&4 またもミラクルパントのライアン・アレン
40yds地点でスナップを受けたPアレン、高く蹴り上げたボールが、ラムズのエンドゾーン1ydsのところに着地。それが見事反対側に跳ねて5ydsのところで止まる。こんな名パントが何度も観られるとはびっくり。
②13:51 RBアンダーソンがボールをファンブル。命拾いするラムズ
自陣10yds付近という危険地帯から、1stダウンラインギリギリを狙うRBアンダーソン。スティフアームで敵を押さえつけるも、CBは右手をボールに伸ばし、ファンブルフォース。こんなところでターンオーバーされたら、ゲーム終ったも同然。ボールがサイドラインを割ったので、ギリギリラムズボールで命拾い。安堵。
③7:38 TEグロンコウスキ 敵陣2ydsで見事キャッチ、タッチダウンチャンス
同点になったラムズは勢い取り戻すべく、積極的に攻撃。なかなか取れなかった1stダウンを奪いつつ、敵陣に攻め込むも、ハーフラインを超えた当たりから、ペイトリオッツD#の壁が分厚くなる。ボールをもらったペイトリオッツも、同点だから踏み込む足の思いが違う。エデルマンがうまく相手を動かし、ボールをキャリアし続け、最後ロングパスはやっぱりTEロブ・グロンコウスキ。エンドラインぎりぎりでボールをキャッチ。
④7:00 RBソニー・ミシェルがタッチダウン!10-3
1stダウンで決めに来たペイトリオッツ。大学時代はDLだった選手をFBにセットし、ラムズLBをしっかりブロックさせる。このブロックは本当に見事なプレイでした。教科書のような完璧なブロックでしたね。しっかり空いたルートにRBが走り込み、念願のタッチダウンが実現しました。ソニー・ミシェルはプレイオフで6本目のTD。ルーキー選手としてレコードを樹立。
⑤5:02 1st &10 敵陣44ydsに迫るラムズにも得点チャンス到来
このままでは負ける!負けたくない!そういうアツイ思いがO#を奮起させます。WRブランディン・クックスが見事なランを魅せ、ラムズは敵陣に攻め込みます。まだ時間は5分以上。タイムアウトも2つ。点差は7点。まだまだ焦る状況ではない。ラムズOLがしっかりとパスプロをしてくれ、敵陣25ydsあたりにロングパスが成功します!またもWRロバート・ウッズ!やってくれます。マッチアップしてたSジョナサン・ジョーンズは対応できなかったようです。このまま同点タッチダウン希望!
⑥4:29 1st&10 ブランディン・クックスへのタッチダウンパス!
一気呵成に攻めるラムズ。先程と同じようなプレイコール。ターゲットはブランディン・クックス。しかし、マッチアップしているのは、CBステフォン・ギルモアでした。さすがギルモア。クックスへのパスを通してくれません。エンドゾーンぎりぎりのパスは悔しくも失敗。僕から見るとこれはパスインターフェアだったように思いますが、それはまぁ仕方ない。
⑦4:24 2nd&10 何と再度同じプレイ!これを・・・ギルモア!インターセプト!
何とびっくり、マクベイは同じプレイコールをします。三度同じプレイ。ターゲットはまたブランディン・クックス。マッチアップはCBギルモア。しかし、ラムズOLがパッツDLの勢いを止められなかった。そのプレッシャーを受けて、後ろ足体重になったまま投げたゴフのパスが、ふわりと浮いてしまった。その甘いボールを名手ギルモアが見逃すはずがない。しっかりとボールをキャッチして、ゲームを決定づけるインターセプト!!!!
これが経験値の差なのか。悔しいゴフ。悔しいマクベイ。悔しいラムズ!
⑧2:34 敵陣30ydsまで迫るペイトリオッツ
自陣10ydsという危険地帯から、中央へのランプレイで難なく抜け出すペイトリオッツ。その後もRBバークヘッドのロングランが決まり、敵陣30yds。FGレンジまで陣地を奪い返します。ここで3点入ると意味が大きく変わります。
⑨2:00 3rd&1 見事に水際で止めるラムズD#
チャンスをものにできないO#比べ、ラムズD#は本当にいい仕事連発。ペイトリオッツO#を止めてくれます。数インチだけ残す。
残り時間は1:16。ペイトリオッツからすると、あと2センチ進んで1stダウンが取れれば、ゲームを完全にものにできる。しかし失敗すればターンオーバー。ラムズO#にタッチダウンでも許せば、逆転負けを食らう。FGも外れる可能性がある。もし外れたら、同じこと。今日のゴストウスキは一度外している。どちらの可能性が高いのか。思案の末、ベリチックが決定したのは、ゴストウスキでした。
⑩1:16 ゴストウスキが41ydsトライのFGをきっちり決める。
この大きな大きなプレッシャーを受けたKゴストウスキ。外せば職を失う。チャンピオンから陥落する可能性もある。全員の望みやファンの期待、アメリカ人すべてが彼の右足に注目します。とんでもないプレッシャーの中、ゴストウスキは思い切って蹴りました。ボールはポストの左側めがけて飛んでいきました、外れるのか!!!と思いきや、グインと右に戻ってきて見事にFGが成功。本当にキッカーって大事ですね。こいつすごい!
⑪0:08 2nd&10 Kズーライン,48ydsFGがハズレる
ラムズはFG1本とタッチダウン1本の合計2本差を追いつかないとOTにもっていけない。残り時間は限られていて、タイムアウトもない。つらい状況の中で、O#チームはもがきますが、力は届かず。最後にKズーラインがFGにトライしましたが、これも外れてしまいました。残り5秒を残して勝負が決しました。
まとめ
ということで、ハイライトの振り返りでした。O#にもいいところありましたけど、やっぱりD#の強さ、そしてスペシャルチームの重要性が伝わる名勝負でしたね。玄人好きするような展開だったので、フットボール初心者の人には、面白さが伝わりにくいものだったのかも知れないです。
キッカーの重圧、うまくいかないO#の苦悩、ミスができないCBたち、いろんな人達の重みが画面を通して伝わってくる、観てる方にも重めのスーパーボウルでした。勝利したペイトリオッツには賞賛の言葉しかありません。最後の最後には、精神の強さが問われる。どんなときでも、冷静で諦めずにやるべきことを貫いたペイトリオッツは本当に強かった。フットボールは人間の本性をむき出しにする。改めてそんなことを感じた名勝負でございました。NFLの皆様、ありがとうございました。