もう随分遅くなってしまいましたので、記事にするのも鮮度がない話ですが。やはり当ブログもシーズンの締めくくりとして、スーパーボウルの記事を〆としておきます。
それにしても素晴らしい戦いでした。興奮をありがとうございました。両陣営のすべての関係者方、またNFLの組織に感謝申し上げます。
スーパーボウルはともに第一シードのチーフスvsイーグルス
NFC1位のイーグルスと、AFC1位のチーフス。どちらも最強の呼び声高いチーム状態。特にイーグルスはありの抜け穴も無いほどの完璧でした。
オフェンス | ディフェンス | |
イーグルス | 3位 / 6,614yds | 2位 / 5,125yds |
チーフス | 1位 / 7,032yds | 11位 / 5,579yds |
とにかくイーグルスの穴があに。完璧という言葉はスポーツにはないでしょうが、それに近い状態でした。
しかしイーグルスはHCニック・シリアニもQBもスーパーボウルは初体験。それに対して、チーフスはこの5年間で3回目の挑戦。アンディー・リードはイーグルス時代も数えると、4度目となります。この経験値の差は大きかったですね。
それに加えてマホームズです。2022年は、年間パス獲得ヤードで、NFLレコードを塗り替えたビッグシーズンでした。そしてキャリア2回目のシーズンMVPを獲得しました。やっぱり凄いことです。(だけど同時にMVPを獲った選手はスーパーボウルに勝利できないというジンクスもありました)
対してイーグルス。完璧なシーズンでしたが、敢えていうとビハインドになった展開から勝利したのはジャガーズ戦くらい。逆転された展開から勝利をもぎ取ってきたチーフスとは、勝ち方が違いましたね。
開会前のセレモニー
「愛国歌」アメリカ・THE・Beautifulを歌ったのは、RBシンガーのベイビー・フェイスでした。年齢調べると63歳。もうさすがにベビーじゃないですが、声は変わらず甘ーい感じ。
黒人国歌とも言われる「Lift every Voice & Songs」を歌ったのは、女優のシュリル・リー・ラルフ。Beyonceが主演した映画「ドリームガール」で有名ですよね。
そして今年の国歌斉唱は、カントリーシンガーのクリス・ステイプルトンさん。ふーんという入りでしたけど、いやはや、声がきれい。歌上手すぎでした。
https://www.youtube.com/watch?v=tcs6HLKz_aQ
また見てほしいですねぇ。
この国歌斉唱のときに、イーグルスHCのニック・シリアニが涙をコンコンと流してました。「これぞ男泣きだな」と思いましたね。感情を隠さず表に出す男と言われてました。
前半戦のハイライト
スタートはイーグルスのO#から。オフェンスラインは完璧に強くて、本当に盤石という具合でした。QBエリオットも初スーパーボウルとは思えない落ち着き具合でした。でもチーフスD#も無茶苦茶攻撃的でした。RBのランでタッチダウンかと思いきや、ギリギリ止まる。これもすごかった。
1stタッチダウン伝家の宝刀QBスニーク。これ無敵でしたね。毎回3ydsくらいスルスル進むから。全プレイがこれでも勝てるような感じがします。
RBのパチェコがすごかった。返す刀のチーフス。この試合、終始一貫してすごかったです。まじでアンストッパブル。情熱的なランで、高い集中力。諦めの悪さ。最強のランニングバックでした。
TEトラビス・ケルシーによってタッチダウンを奪い取ります。こんなに序盤から得点があるスーパーボウルはあまり見たことがなかったです。
しかし、イーグルスにもビッグプレイ。AJブラウンへの45ydsのロングボムがドカンと決まります。ジェイレン・ハーツとブラウンのコンビネーションは美しいですね。ブラウンのルートラン、素晴らしかった。ワンプッシュしてCBにフェイクしているのも見事。
これで終わりません。なんとイーグルスのO#で、今度はチーフスD#がファンブルフォース。(純粋にファンブルだったのかも知れない)。これをMLBニック・ボルトンが拾ってリターンTD。またもや同点14−14に。
しっかし、ここからイーグルスは強かったですね。4th down 5のシチュエーションで、ギャンブルにでました。残り時間を考えると、そこまでしなくても。という場面でしたが、随分積極的でした。
4th Downからジェイレン・ハーツが20ydsラン!!信じられない。すごすぎます。盛り上がります。その後またもQBランによりTDを奪い7点差をつけます。その後の攻撃ターンでも、TDとまではいかずとも、FGを奪い10点差を24−14で前半を終了。これはチーフス、厳しいぞと。マホームズとは言え、このイーグルスはホンマに強いぞ。そんな前半戦でした。
ハーフタイムショーも見応えありました
Rihanna’s FULL Apple Music Super Bowl LVII Halftime Show - YouTube
Rihannaのハーフタイムショーも良かったですね。Jay-zのレーベル、ロック・ネイションがスーパーボウルを仕切るようになってからNFLは随分と段取りが楽になったそうです。
- アーティストとの交渉
- BLM, LGBTを踏まえたショーメイク
- ステージの設計や運営
などなど、これらややっこしい事を全振りすることができるそうで。リーグ側はゲームに集中できるようになり、助かっているそうです。アーティストもR&B色が強くなっている感じはありますが、これもま、時代的なものもあって良いんじゃないでしょうか。
.@FOXSports' presentation of #SuperBowlLVII scores 113 million viewers.
— FOX Sports PR (@FOXSportsPR) 2023年2月13日
✔️ Ranks as third most-watched TV show EVER
✔️ Most-watched #SuperBowl in SIX years
✔️ Most-streamed #SuperBowl EVER
✔️ Most-streamed event in @FOXSports history
📝: https://t.co/GwHs1cfuyA pic.twitter.com/TNpRwWHsGV
歴代最高視聴率を叩き出したことや、ゲーム自体の視聴率よりも高かったことなどを含めて、今回のショーは大成功だったと思いましたね。
上がり下がりするフローティングステージも、芝生を傷めない仕掛けの一つだったようです。ワイヤーを8本だけで水平を保ち上下する構造。どうやって作るんだろうと、興味を引きました。
後半戦
さて後半はチーフスの攻撃から。13:15 マホームズがイーグルスDLに攻められながらも、かろうじて前にスローイング。パスは良くなかったけど、ケルシーがこれを見事にキャッチ。こんなボールでも捕っちゃうケルシーはマジ神すぎる。
そして10:49 / マホームズがスーパーボウルサインに滑りながらがも、お見事なQBラン。マホームズが走るとこんなに注目するのは何ででしょう。残り5ydsまで迫り、得点ゾーンへ。
9:30 / さんざん活躍しているRBアイザイア・パチェコがTDラン。リードブロッカーで素晴らしいブロックをしたRBマッキノンを忘れちゃならない。これで21-24と3点差に迫る。
9:26 / イーグルスの攻撃。時間を使いながらタッチダウンを奪い、21-31と離したい狙いです。RBマイルス・サンダース#26へのパス、チーフス#38 ジェリー・スニードがハードタックル。これでファンブル
LBニック・ボルトンがこれをピックしTDへ。なんと大逆転!!!
かと思いきや、これはパスインコンプリートに覆りました。この判定にはチーフスファンは困惑。イーグルスは首の皮一枚助かりました。しかし、このワンプレイでモメンタムが一気にチーフスに変わったように思います。
まだまだ21-24のまま。イーグルスチャンスは継続中。作戦は変わらず時間を使いながらファーストダウンを奪い、ジリジリと敵エンドゾーンに近づいてきます。残り42yds付近。2nd9。奥に送り込んだRBマイルス・サンダースへロングパス。これは残念チーフスSソーンヒルのパスカバーにより失敗。ほぼキャッチしてました。これが決まれば、ゲームはイーグルスに傾いてました、
注目はこの一番。ボールオン20ydsで3rd1のシチュエーション。イーグルスがQBスニークしない。ひっかけるんです。さんざん成功してきたのにね。LBとかが前倒しにくれば、オープンが大空きする。TDまで。という狙いだったはず。しかし、これチーフスが見破ってるんです。
ほぼ成功するだろうという目論見は失敗に。またもLBニック・ボルトンがスーパープレイでノーゲインでタックル。チーフスはD#チームも大活躍です。モメンタムを譲りません。この後の4thダウンでQBスニークでファーストダウンするんですが、その後もドライブで3and outに持ち込み。
TDを奪いたかったイーグルスはチーフスD#のファインプレイでFGに。これで21-27となります。チーフスの攻撃力の前に、6点差は怖い。モメンタムもチーフスに流れそうな展開でした。
6点を追いかけるチーフス。WRジュジュ・スミス-シュースタへ3回ほどパスが成功。このシリーズはジュジュとパチェコが活躍してました。そして残り5yds、3rddown 3。ライトにいるWRトニー#19へ。モーション・フェイクパスでした。これでついに逆転。
まだまだ1点差。しかしこんな面白い展開ありますかね。もうたまらん。ゴダートへのパス成功するも、チーフスD#が固い。なんだか神ってるD#。イーグルスは攻撃が成功せず、パントへ。このパントがあまり飛ばなくて、ミスってました。
さきほどTDを決めたWRカダリウス・トニーがリターン。ボールなりに左サイドに動き始めますが、ここから急遽反転!!!!
すんごいカットバックを見せて、イーグルスのD#チームを片面に押し込みました。
ここはマジで動画見て欲しい!!!これがもう芸術的なリターンなんだな。リターンチームが全員完璧で。戦国時代を観てるかのような、陣構えで横槍をついてくるイーグルスをバッタバッタとなぎ倒していきます。
みてこれ。みてこれ。こんなリターンみたことない。
すんごいビッグリターンで敵陣4ydsまで迫ります。こーれはすごいプレイでした。
This punt return by @0fficialC2N 🤯@NFLFilms @Chiefs | #SBLVII #Chiefs pic.twitter.com/LJsYc9a2Ls
— Inside the NFL (@insidetheNFL) 2023年2月15日
そしてチーフス。お得意のぐるぐる大作戦は失敗に終わりますが、先程タッチダウンを奪ったモーションフェイクを、今度は左サイドで。これがまた大成功。「イーグルスのDCはポンコツか!」と観戦者は怒鳴りちらしてました。これでタッチダウンで35-27!!!ついにイーグルスが窮地に。
Patrick Mahomes during the #Chiefs Super Bowl leading touchdown.
— Dov Kleiman (@NFL_DovKleiman) 2023年2月16日
"F**k it, I don't know."pic.twitter.com/SasN0yG2Tb
#Chiefs did this in the Super Bowl (twice!) within 3 minutes of game time against the number 1 pass defense in the league per DVOA. pic.twitter.com/BJJ4txYu5P
— Chiefs Outsider - Chris (@chiefs_outsider) 2023年2月18日
これ、完全にミラーですね。やっぱりチーフスは嫌なことしてきます。まさか同じ手をニ回も使うとは。
Amazing: The #Chiefs used “Pikachu Formation" - "Gotta Catch ‘Em All" trick play in the Super Bowl 🤣@PatrickMahomes shared on Jimmy Kimmel Live.https://t.co/cOMib0iauX pic.twitter.com/OFWMe6Tc80
— Dov Kleiman (@NFL_DovKleiman) 2023年2月14日
これがぐるぐるフォーメーション。彼らは「ぴかちゅうフォーメーション」と呼んでいるらしですね。この大舞台でもふざけるのって、すごいよなぁ。
だけどもイーグルスは落ち着いてました。WRブラウンへ幾度もパスを通し、しっかり着々と歩を進めます。そして5:40。WRダバンテ・スミスへのディープパス。見事に大成功!!チーフスD#は完全に裏をかかれました。
伝家の宝刀、QBスニークで2ydsを悠々とTD。35-33まで追いつきます。本当イーグルスO#は強い。もうOLが強すぎる。
そしてスゴイのが、この後。ポイントアフターで、2点を狙いにいく。QBジェイレン・ハーツが根性でエンドゾーンに飛び込んで、もぎ取る!!!しびれました。これでゲームを降り出しに!
チーフスの攻撃。ここを仕留めたらイーグルス優勝に近づきます。非常に大事なシリーズ。チーフスはTEケルシー、WRジュジュ・スミス、RBパチェコへボールを運びながら、徐々に歩を進めます。
そしてボールオン43ydsの1st down。マホームズはがら空きになったフィールドを見つけ、思わずQBスクランブル!!!!絶対にケガしてはいけない男が大博打です。
これが20ydsを超えるランとなり、敵陣深くきりこみました。右足首を捻挫しているQBが痛みに耐えてここまで走るとチームメイトも最後の力を振り絞ります。これぞリーダーシップ!!!
2minウォーニング。2nd8。イーグルスは時間が欲しい。3回の攻撃でFGで済ますか、さっさとTDを取らせるかの選択。なるべく早くジェイレン・ハーツにボールを渡したい。そんな状況です。
WRジュジュ・スミスへのショートパスはノーゲインで失敗。3rdダウン8です。
最後の勝負。イーグルスはこれを仕留めたら、時間を残して最後の攻撃チャンスです。
もう一度、左のWRジュジュ・スミスへパス。これからです。
イーグルスのCBジェイムス・ブラッドベリーがパスインターフェアの反則を取られます。これは本当にゲームチェンジなファウルです。
この判定はかなり厳しいものでしたね。パスインコンプリートに終わっていただろうと思いますが、反則のためにファーストダウンゲット。時計をチーフスに譲ってしまいました。この状況ではメガトン級のミスです。
そしてRBマッキノン。エンドゾーンの直前でニーダウン!!!なんと・・・イーグルスの息の根をとめるニーダウンです。
超ファインプレイ。これで時計を回す権利をまた保持します。残り時間を完璧に使い倒し、最後の最後でFGをして逆転。めちゃくちゃクレバーなプレイでしたね。
見事に大成功。ボールホルダーをしたパンターのタウンゼントも緊張したことでしょう。ロングスナッパーのジェイムス・ウィンチェスターも緊張したことでしょう。このプレイの成功のため。全ては。感動です。事実上のウィニングキックです。最後はイーグルスに少しだけ時間が残りましたが、さすがにうまくいきませんでしたね。
ゲームセット
大激闘を制したのは、経験に勝るチーフスでした。得点は38-35。しかし、その内容はどちらも敗者のいないほど、とてつもない名勝負でした。本当に少しのことでイーグルスが勝利したかも。そんな内容。
それにしても感動しました。マホームズは2回目のスーパーボウルMVPに。シーズンMVPとのダブル受賞は、NFL史上初の出来事。この5年で2回も優勝したことに加えて、新しいGOATの誕生かも知れません。
勝者に降り注ぐ、チームカラー。チーフスカラーに染まるフィールドでRBパチェコは感無量の表情。なんとも良い顔をしています。本当にすごいゲームでした。。
おめでとうございます。そしてありがとうございましたNFLの皆様。今年も本当に素晴らしい1年でした。願わくば、この感動を日本全国の人たちが共有できますように。NFLは本当に面白い。スーパーボウルに並ぶドラマはないように思います。
NFL超入門は、これからもNFLの魅力を伝えていけるよう、頑張ります!