カンザスシティ・チーフスのQBパトリック・マホームズ。彼はデビュー4年目のシーズンがまだ始まっていないのですが、なんと既に延長契約を締結してしまったのです。
その契約期間と契約金額が、NFL史上最高かつ、アメリカスポーツ史上最高となる、10年$450M(≒480億円)という巨額契約でした。インセンティブ(出来高払い)部分を含めると、マックスで$503M(≒540億円)となります。
この契約がどれほどの規模なのか。また今後どのような影響が出るかについて、少し調べてみます。それではどうぞ。
NFLが日本でもっと浸透しますように。
【規模の検証①】マホームズひとりで、巨人軍の総額より上。
僕が調べた数字が間違いでなければ・・・・という言い訳がついてしまうんですが、巨人軍が選手全員に支払う総額が、以下の通りです。
巨人の支払総額 | マホームズの平均年俸 |
44.2億円 | 48億円 |
44億円というのは、巨人に登録されてる選手90人全ての契約金額総額になります。それよりも、パトリック・マホームズ一人の給料の方が高いということです。
ちなみに、巨人の契約は低くなく、12球団ではソフトバンクホークスに次ぐランク2位の予算です。
【規模の検証②】他のQBと比較しても、圧倒的
ちょっと画面が小さいかもですが、2位のマット・ライアンの5年$150Mを圧倒的に抜いています。2位~10位の平均年俸は、3000万ドル($30M≒32億)です。これだけでも圧倒しています。
このデータは、Sportsracさんの契約データです。これによると契約金額はSNSで流れてる$503Mでなく$450Mになってます。こっちが厳密には正しいようで、$503Mというのは、なんかちょっとわかんないんですが、最大で・・・という話みたいです。僕には理解できなかったです。詳しい方、教えて下さい。
これが上記の表をグラフ化したものです。こういう具合に見える化すると、マホームズの10年$450M、ダントツだなというのを実感します。
【検証③】他にも長期契約のQBはいなかったのか?
NFLで十年などの長期契約を結ぶことは、実は選手・チームとも互いにメリットが少ないことが多いです。良い成績が残せたら、選手はいろんなチームからオファーがくることになります。そうすると、入札(オークション)と同じで価格が高騰するわけです。この原理を利用するためには、長期契約を結ぶのはチャンスを喪失することにもなります。
またチームは、こいつだと決めた選手を残したくとも、選手に相応の額を用意しないと合意に至りません。そうなると、一人の選手がキャップスペース(予算)を大きく圧迫し、他の優秀な選手を確保する余裕がなくなる危険があります。
こういう基本構造がゆえに、チーフスがマホームズと結んだ10年高額契約というのは、大変稀有な出来事なのです。しかし、過去にも十年に及ぶ契約を結んだ選手が5人います。すこし紹介します。
ブレット・ファーブ / パッカーズ
2001年3月に10年$100Mの契約をしています。今では考えられない安い金額だと思います。NFLがこの20年で本当に成長している証拠です。
ドリュー・ブレッドソー / ペイトリオッツ
2001年3月、10年$103Mで契約しています。彼が10年の契約をした年に怪我をして、バックアップのQBトム・ブレイディが登壇してきます。ブレッドソーの長期契約は反故され、バッファロービルズに移籍し新契約を結びます。
ドノバン・マクナブ / イーグルス
2002年9月、12年$115Mで契約。アンディ・リードが交わした最初の長期契約がこの人、ドノバン・マクナブです。彼はいまでもたくさんのファンがおりますね。強肩、健脚、頑丈、そして愛嬌のあるリーダーシップ。なんだかマホームズに似ているように思います。
ダンテ・カルペッパー / バイキングス
2003年5月、10年$102Mでミネソタと契約しています。彼の名前は初めて知りました。10年契約を結んだ2002年以降、引退するまで一度も勝ち越しシーズンがありません。キャリアで勝ち越したのは2年目の2000年だけです。
マイケル・ヴィック / ファルコンズ
2004年12月、10年$130Mで契約。圧倒的な機動力をもったレフティでしたね。今で言うキャム・ニュートンのようなモバイル型QBの超ハイレベルタイプ。この2年後に自宅で、ひどい動物虐待になる闘犬賭博により、実刑判決をうけチームをイーグルスへ動きます。ドノバン・マクナブの後を担当します。
まとめ
このように見ると、アンディ・リードHCは、10年契約選手を3人も担当するという珍しいめぐり合わせをもっていますね。
さて、NFLのサラリーキャップは、この20年で大きく拡大してきました。マホームズが今後のスター選手であることは、まごうことなき評価だと思います。彼への処遇が、他の選手にどう影響するのか。QBばかりが光を浴びるばかりで良いのか。
特にRB業界。エイドリアン・ピーターソンなんかは、「ゲームを左右する重要な貢献をしている選手がたくさんいる。バックアップから1年だけ活躍しただけのQBに追い抜かれるなど、正しい扱いだと思わない」と、ライアン・タネヒルのことを暗に出汁にしながら、RBの扱いを上げることを主張しています。
これから、他の選手への対応や評価について、かなり議論が生まれそうです。アメリカの代理人やGMは本当大変だなぁと思います。