アメフトは総力戦だと言います。ゲーム中にフィールドにいるプレイヤーだけでなく、QBコーチ、OLコーチ、DC、OC、HC、またはメディカルチームのそれぞれが役割を果たし、組織的な力を発揮してゲームに勝利する。それがアメフトです。
そして、サッカーやラグビーのように、選手がどのプレイを選択するかは、HCやOCに委ねられています。それは正しい判断をするには、全体を俯瞰してみることができる指揮官にしかできないことを、皆が知っているのです。
言うならば、戦国の戦でいう総大将です。敵陣・自陣の両陣営を俯瞰できるポジションにいて、右翼か左翼か、それとも中央かという大事な判断をする状況に似ています。だからアメフトは軍事的ゲームだとも言われています。
さて、そうなると一つの疑問が生まれます。軍事的ゲームならば、どうやってその判断を伝達するのか？総大将が毎回毎回、フィールドに足を運び、直接伝えているわけではありません。
QBのヘルメットには無線機が仕込まれている。
いきなり答え合わせですが、ヘルメットの中にラジオスピーカーが仕込まれてます。これはQBに一人、そしてD#に一人だけ装備を許されています。また双方向通信ではなく、コーチ陣からの一方通行の通信のみとなっております。さらに、ハドルが解かれると、通信は遮断されます。
ヘルメット抑えてるのは、頭抱えてるわけじゃないんだよ。
こりゃ便利だよね。なんですが、スタジアムの歓声はものすごいので、肝心のプレイコールが聞こえないことも、ままあります。よくQBがヘルメットの耳を抑えていますが、これはヘルメット内部スピーカーの音を聞くためです。決して悩んでいるわけではありません。
受信機・スピーカーをつけているヘルメットには、NFLのこのステッカーが貼られています。O#に一人、D#に一人です。当然O#はQBですが、D#チームではILBが多いですね。このステッカーを貼っている人がプレイメーカーになりますので、彼らの挙動に注目しながら観戦するととても面白いですよ。
開発したのはポール・ブラウンさん
「ヘルメットの中に電話機を仕込んじゃえ」というアイデアを実装したのが、大コーチのポール・ブラウンさん。ブラウンズのHC時代に対ライオンズ戦でこっそり使ったらしいです。オハイオ州の発明家といっしょに作ったらしい。これがなかなか評判良かったので、「全部のチームで使おうじゃんか」という話になったそうです。
その技術が進化して、現在すべてのコーチがヘッドセットをつけてます
NFLだけでなく、この技術はカレッジにも使われてます。アメフトのルール上問題ないことなんですね。技術提供はMOTOROLAやBOSE社が行っています。
QBの手元にあるカンペをみて確認
よくブレイディや他のQBが左手に巻いてるリストバンドには、HCがもっているコールブックの概略版が仕込まれてます。ヘッドセットからプレイコールを聞いたQBは、左手のカンペをみて、再度確認をするわけですね。いやはや、なんとも組織的なスポーツでしょうか。本当にフットボールって面白いですよね。
