アーロン・ヘルナンデスは、かつてニューイングランド・ペイトリオッツでロブ・グロンコウスキと並ぶ、名タイトエンドとして活躍してました。
188㎝とTEとしてはそれほど大柄ではなかったが、ランアフターキャッチが素晴らしく、ランニングバックのようにカットバックでグングン進む。攻撃的で素晴らしいプレイヤーでした。しかし彼が活躍したのは、2010~12の3シーズンのみでした。
18TDもあげた優秀な選手が3シーズンしか在籍しなかったのは、彼が殺人を犯し終身刑を言い渡されたからです。
今回の記事は、そんな人物。アーロン・ヘルナンデスと彼の人生を大きく左右してきたアメリカンフットボールについてまとめました。それではどうぞ。
NFLが日本でもっと浸透しますように。
彼が犯した殺人、婚約者の妹の恋人を射殺
2013年6月17日、ヘルナンデスの自宅近くの公園で、5発の銃弾を撃ち込んで射殺。婚約者の妹の恋人だった。警察は監視カメラの記録をたどり、ヘルナンデスを逮捕しました。
そして調査の結果、他2件の殺人事件にも関与していると告発され、終身刑を言い渡され、刑務所送りに。
もともと大学生のときからトラブルメーカーだったようです。右胸にはトランプカードにダイスのタトゥー。ギャンブル好きだったみたいですね。飲み屋で乱闘騒ぎも幾度もあったそうです。
彼の父親は地元コネチカットのブリストルの重鎮でしたが、16歳のときに他界します。叔父さんは喧嘩を繰り返す人で、慕っていた父を失った若者の心は、日を追うごとに荒んでいき、暴力行為に発展したのだと思います。
刑務所内で自殺。遺書には同性愛の告白。
彼は刑務所内で自殺します。扉が廊下から開けられないように細工して、ベッドシーツを破り、首をくくったそうです。
傍らには遺書がありました。彼には生後9ヶ月の娘がおり、彼女の行末に対する不安が書き綴られておりました。また自分は同性愛者であり、高校生のときから付き合っている男性がいることも告白されていました。それを、同部屋の受刑者になじられ、自殺に走ったのでないかと言われてます。
彼が患っていたCTEとは?アメフトとの関連
自殺した後、病理診断にかけられ、彼の脳がCTスキャンされました。彼の脳はひどいCTE(慢性外傷性脳症 Chronic traumatic encephalopathy)状態だったそうです。進行性の脳変性を起こし、脳に空洞ができていました。
記憶力低下、記銘力低下、錯乱・抑うつ状態や、暴力行為を引き起こします。また慢性的にイライラして破壊衝動が抑えられなくなるそうです。
この原因はコンカッション(脳震盪)でないか、と言われます。アメリカン・フットボールは頭をぶつけてしまうスポーツです。TEだったヘルナンデスは何度も脳震盪を起こし、この病にかかっていたのです。
そうなると、彼もまたフットボールの犠牲者です。複雑な事件です。