「バーチャル・ヤード・ライン」、もしくは「マジック・イエロー・ライン」などと呼びます。テレビでフットボールを観戦する際に、大変便利なこの技術。
当然、実際のフィールドには何も線が引いてません。でもテレビの画面上ではスクリメージラインと、ファーストダウンを示すラインがあります。このため、プレイがファーストダウン取れたかどうか!というギリギリの攻防を、現場と同じように楽しめるようになってます。
しかし、なんで選手はラインで消えないんでしょう?今回は、NFLビジネスが生んだバーチャル・ヤード・ラインの謎に迫ります。
この動画と、
この動画をみて勉強したことをまとめてみましょう。
そもそもこの技術の発想はアイスホッケーから
パックの軌道がわかりにくい!何とかならんのか!で、テレビ中継が面白くなるように、パックの中にセンサーを入れたのが始まり。
この技術の発展形がバーチャルラインになったわけです。
画期的な方法の発想!
問題は、「どうやってこのラインを入れるか?」です。上のテレビ画面みたいにキャプションを画面の上に表示するのは簡単です。しかし、それだと選手が隠れてしまって何より肝心なプレイが消えてしまいます。
そこで開発チームは、「そうだ!芝生の色を置き換えよう!」と発想。芝生の色が変わってるから、ラインと選手が重なることはない。この発想はエポックメイキングでした。
発想は単純でも技術は複雑
しかし、この実行にはかなりの地道な作業を要しました。映像チームは試合が開催されるフィールドの芝生全てを細かくマッピングする必要がありました。色も真緑もあれば枯れた緑色もあり、芝生が禿げて茶色の部分もある。それらを同じものだと覚えさせないといけません。またNFLだけでも32チームのフィールドです。カレッジも含めるともうそれは膨大なものです。
さらにフィールドはフラットに見えますが、排水の関係上起伏がついてます。そのまま加工すればラインは曲がります。まっすぐに表示するには、起伏の分を計算して表示させないとなりません。
次にユニフォームの色と識別する必要があります。特にNY JETSは緑色のユニフォームですから、これらと同化させないようにしないといけません。
これらの難問が発見されたわけですが、さすがアメリカ人。やると決めたらやりきります!全てのスタジアムのフィールド計上と色などの情報を統合させて、モデル化に成功し、さらに選手のユニフォーム、審判のユニフォームなどの情報も全てインプットしました。
ついに技術開発に成功!放映開始!
こうして1998年にESPN社で導入されました。サンクスギビングデーに開催されたピッツバーグ・スティーラーズvsデトロイト・ライオンズのゲームでした。それまでは黄色いラインは無かったんですね。技術投下されてからまだ20年の話です。
NFL以外でも活躍するこの技術
この技術は、様々な技術に応用されています。
①バーチャル看板
大谷翔平効果で東京西川が広告だしてましたが、これも現場に直接張るものでなく、データの入れ替えです。日本人が観るものには日本の広告を、アメリカ人にはアメリカの広告をと、ユーザーに合わせたプロモーションが可能になり、広告効果と販売チャネルが増えました。
②仮想選手ライン
オリンピックや世界大会の「ワールドレコードライン」。これもNFLからの技術です。もしあの時の選手がいれば!という妄想がゲーム観戦をより楽しくさせてくれます。
まとめ
アメフトはプレイがひとつずつ止まるスポーツです。ゲーム時間もながいということで、実にテレビ放映との融和性が高い。技術介入すればそれはビッグビジネスに変わるということですね。いろんな意味でアメフトはアメリカ人のプラットフォームになってますね!
というわけでNFLが開発したデジタル技術の話でした!また次回!
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