右足ひとつでゲームを決める。それがキッカー。地獄のようなプレッシャーを感じつつ、それを跳ね除ける男気。すごいっすよね。
アメリカでは、「一番就きたくない仕事」として有名。とにかく栄光と批判のバランスが悪すぎるポジションですね。 今回は、そのキッカーについて簡単に解説したいと思います。
日本でもっとNFLが浸透しますように。
- キッカーは、キックをするだけのポジションです。
- フィールドゴール(FG)って何?
- キッカーはものすごいプレッシャーと戦っている!
- 絶対に決めたい場面で外れたフィールドゴールたち
- 有名なキッカーたちを紹介
- アダム・ヴィナティエリ#4 インディアナポリス・コルツ
- ステファン・ゴストウスキ#3 ニューイングランド・ペイトリオッツ
- メイソン・グロスビー#2 グリーンベイ・パッカーズ
- ダン・ベイリー#5 MINバイキングス
- セバスチャン・ジャニコウスキ#11SEAシーホークス
- ライアン・スコップ#8 テネシー・タイタンズ
- フィル・ドーソン#4 アリゾナ・カージナルス
- マット・ブライアント#3 アトランタ・ファルコンズ(FAに)
- ロビー・ゴールド#9 サンフランシスコ・49ers
- ニック・フォーク#2 タンパベイ・バッカニアーズ
- スティーブン・ハウシュカ#4 バッファロー・ビルズ
- マイケル・バッジリー#4 LAチャージャーズ
- 引退した名キッカーたち
キッカーは、キックをするだけのポジションです。
アメフトで点数を取るのは、
①タッチダウン6点(TD)
②フィールドゴール3点(FG)
この2種類だけです。(厳密にはもっとありますが、基本はこれだけです)。このフィールドゴールを専門に担当する人を「キッカー」もしくは「プレースキッカー」と呼びます。次は、フィールドゴールを簡単に解説します。
フィールドゴール(FG)って何?
動画をみてもらうと、イメージしやすいと思います。サッカーのフリーキックのように地面にセットして、ゴールポストの間に向かって蹴る。これが成功すると3点が獲得できるのが、フィールドゴール(FG)です。
タッチダウンの半分が得点できるので、非常に重要な仕事だと、わかってもらえると思います。
NFLでは、戦力均衡(レベニューシェア)が見事に機能していますので、1点を争う展開が実にたくさんあります。その中で、フィールドゴールの3点を成功させるか、それとも失敗してしまうか。これはめちゃくちゃ大きなプレッシャーなんですね。
キッカーはものすごいプレッシャーと戦っている!
先程も説明しましたけど、アメフト、特にNFLでは1点を争うゲームが多い。しかもそれが、最後の最後、残り1秒って局面であるんです!
「これを決めたら優勝だ!!!」
スタジアムの8万人の大観衆、テレビの前にいる地元のファンたちが、一人の右足に大注目されるわけです。そんなプレッシャーをキッカーは背負って、勇気をもって脚を降るわけです!
「絶対につきたくない職業」ランキングに名前があがるのも無理はないと思います。
この勇気!この気合!もっと認めてあげて欲しい!
絶対に決めたい場面で外れたフィールドゴールたち
これNFLの動画だからブログからは観れないかも知れないですが、ぜひYoutubeからでも観て欲しい。さきほどの大場面でFGを失敗した総集編です。
「天国か?!地獄か?!」そのギリギリでいきていく男たちの勝負をかけた表情をご覧いただければと思います。
有名なキッカーたちを紹介
さて、次は有名なキッカーたちをいくつか紹介します。皆、さきほど解説したハイストレスな職場で見事に結果を出し続けて、現場に立ち続けてる人ばかり。彼らは、ある意味本当に変態です。超人です。化け物です。心からの敬意と畏怖の年を込めてご紹介したいと思います。
アダム・ヴィナティエリ#4 インディアナポリス・コルツ
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
A・ヴィナティエリ | 330 | 288 | 87% | 20年 |
通称アイスマン。歴代最高のキッカーとの評判高い。2018年もコルツと単年だけど再契約を更新。1972年生まれで今年で45歳。おそらく歴代最高齢のプレイヤーとなる。
ステファン・ゴストウスキ#3 ニューイングランド・ペイトリオッツ
2006 / 4巡 / 118位 / メンフィス大出身
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 |
---|---|---|---|
S.ゴストコフスキー | 377 | 329 | 87% |
彼無くして、ペイトリオッツはここまで勝ち星を挙げていないでしょう。HCのベリチックはフィールドゴールを狙うのをあまり好きでなく、4thダウンギャンブルに挑戦することが多い。しかし、それでもゴストウスキの右足に助けられたゲームは、本当にたくさんあります。現在、たくさんのキッカーがいますが、ゴストウスキが成績ではナンバーワン。FGの成功回数も、蹴った回数も、成功率も、すべて1位。
メイソン・グロスビー#2 グリーンベイ・パッカーズ
2007 / 6巡 / 193位/コロラド大学
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 |
---|---|---|---|
メイソン・グロスビー | 341 | 273 | 80% |
現在キッカーでは2位の記録をもっています。グリーンベイにこの人ありと、いって良いでしょう。もう11年目となりますが、安定してFGを稼いでくれています。やはりスペシャルチームが強いチームは試合でも勝利しています。
ダン・ベイリー#5 MINバイキングス
2011 / Undraft / オクラホマ大学
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
ダン・ベイリー | 198 | 178 | 91% | 7年 |
2011年からずーっとダラス・カウボーイズ。しかし2018年にミネソタバイキングスに移籍が決定しました。ダン・ベイリーはカウボーイズと添い遂げると信じてましたが、意外なチョイスでした。
FG成功率も、ゴストウスキに並ぶ91%。現役キッカーの中では最高の成功率です。カウボーイズもおいそれと彼を手放すことは無いでしょう。
セバスチャン・ジャニコウスキ#11SEAシーホークス
2000 / 1巡 / 17位 / フロリダ大学
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
S・ジャニコウスキ | 339 | 276 | 81% | 18年 |
1巡指名を受けたキッカーって今までもこれからも無いんじゃないかな。彼はずっとOAKレイダースで18年間プレイしてきた名選手です。2018年にSEAに移籍を決定。ジャニコウスキは現在のキッカーランキングでは安定感でいうと3位くらいでしょうか。いい選手です。
ライアン・スコップ#8 テネシー・タイタンズ
2009 / 7巡/ 256位 /ノースカロライナ大学
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
ライアン・スコップ | 238 | 199 | 84% | 9年 |
ドラフトで最後に名前を呼ばれた人ってことで有名。最初はチーフスで5年キャリアを積んで、その後2014年からタイタンズに移籍。ゴルフの腕前はすごくてハンディキャップは2.2。もうプロ手前くらいの実力ですよね。
フィル・ドーソン#4 アリゾナ・カージナルス
1998/ Undraft / テキサス大
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
フィル・ドーソン | 340 | 286 | 84% | 20年 |
チームを転々としてキャリアを重ねてきたキッカーです。2012年にはプロボウルに選ばれています。キックは右足ですが、投げるのは左利き。彼の息子さんは高校でQBとして活躍中。NFLに入れるといいですよね。
マット・ブライアント#3 アトランタ・ファルコンズ(FAに)
1999 / Undraft / ベイラー大
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
マット・ブライアント | 339 | 294 | 85% |
19年 |
数々のチームを転々として、昨年2016年にはアトランタ・ファルコンズからスーパーボウルに出場。プロボウルに初めて選ばれた苦労人です。アイオワのマイナーリーグから、NFLヨーロッパに移り、NFLデビューは2002年。NYジャイアンツでした。
試合の前日にはチョコレート・ミルクセーキを飲むのが彼の重要な儀式。彼ら夫婦には7人の子供がいた。一番下の息子が生後3ヶ月で突然死(SIDS)。息子の葬儀の日、グリーンベイとの試合があった。彼はゲームにでてFGを3本沈め勝負に勝利。その後、SIDSをなくすためのチャリティー財団を設立し、地域貢献に励んでいる。
ロビー・ゴールド#9 サンフランシスコ・49ers
2005 / Undraft / Penn State
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
ロビー・ゴールド | 329 | 286 | 87% | 13年 |
デビュー年はペイトリオッツと、レイブンズを渡り歩き、翌年2006年から10年間、シカゴ・ベアーズのキッカーとして定着しました。2006年にはプロボウル選出。なかなか安定感のある選手。2016年にジャイアンツ、2017年に49ersに移籍です。彼の名字は「Gould」と書きますが、黄金を意味する「Gold」と同じ発音をします。彼がFGを決めるたびにリーバイス・スタジアムでは「GOOD!GOLD!」とゴールドラッシュを連想させる歓声があがります。
ニック・フォーク#2 タンパベイ・バッカニアーズ
2007 / 6巡 / 178位 / アリゾナ大
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
ニック・フォーク | 305 | 245 | 79% | 11年 |
カウボーイズから指名を受けてNFLデビュー。3年目にNYJETSに移籍し、そこで8年間プレースキッカーを努めました。2017年からタンパベイ・バッカニアーズのキッカーをしていましたが、Week10の試合で3本連続FGを外して、即日解雇処分となりました。
現在FA選手として、新しいチームを探しているところ。NFLの厳しさが伝わる話です。
スティーブン・ハウシュカ#4 バッファロー・ビルズ
2008 / Undraft / NCステート
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
スティーブン・ハウシュカ | 230 | 203 | 84% | 10年 |
バイキングス、レイブンズ、ファルコンズ、ライオンズ、マイナーリーグ、ブロンコスと渡り歩いて、シーホークスでやっと6年間在籍。2017年にはまたビルズに移籍。辛い人生です。
マイケル・バッジリー#4 LAチャージャーズ
2018 / Undraft / マイアミ大学
コルツで仮契約(練習生)した後、チャージャーズと契約。このチームにはながくニック・ノヴァックというプレースキッカーがいましたが、ベテランだったため新人にリプレースされました。
カレッジでの成功確率はFG79.4%、Extra96.1%。NFLでは59ydsの距離に成功したこともあり、なかなか優秀な人材だと言えます。
引退した名キッカーたち
キッカーはRB、LBに比べて選手寿命が本当に長い。20年現役で居続ける人もチラホラ。QBもそうだけど、キッカーの精神的プレッシャ-たるや想像したくないレベル。それを20年も続けるってのは、本当に偉業だと思いますね。
ジョシュ・ブラウン#3 NYジャイアンツ
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
ジョシュ・ブラウン | 300 | 256 | 86% | 14年(引退) |
デヴィッド・エイカーズ#2 フィラデルフィア・イーグルス
名前 | FG回数 | FG成功 | 成功率 | NFLキャリア |
---|---|---|---|---|
デビッド・エイカーズ | 288 | 231 | 80% | 16年(引退) |