あのデレック・カーの兄貴 デヴィッド・カー
彼は全く!NFLで記録を残せなかった選手です。弟のデレックはレイダースのフランチャイズQBとして、また史上最高値で更新とか華々しいスター選手ですが、兄は・・・・アンラッキーのキャリアでした。
だけども彼、2002年ドラフトでは1巡の全体1位指名選手。NFLファンの方なら、「全体1位指名」ってのがどれだけスゴイか、すぐわかってくれると思います。しかし、デイビッドは、同じチームに3年と在籍できず、チームを転々とし、10年でNFLから去りました。
ドラ1の彼がなぜ?NFLで記録を残せず、チームを転々としながらキャリアを終えたのか。ここにNFLの怖さ、冷たさがあるわけです。
「結果だけ」が大事 NFLは非常の世界
「結果をだせ。」というのは、スポーツにかぎらず、仕事全般すべてに言えるこだが、ことさら、アメリカンフットボールの世界では、この「スタッツ」というものが、強烈にキャリアに影響している。
NFLドット・コムさんを見ていても、平均獲得ヤード数、一度あたりのキャリア、パスターゲットになった回数、インターセプトされた回数、ミドルゾーン、レッドゾーンでのプレイ成功率、などなど、実に事細かに数値にされてしまう。
RBやWR、CB、LB、などすべてのポジションでそれが数値にされ、丸裸にされてしまう。
そのリサーチを最も受けているのがQBですね。
しかしアメフトは強烈なチームスポーツ
パスの成功・失敗には以下の要素がはらんでいます。
- QBの能力
- オフェンスラインの能力
- レシーバー陣の能力
- RBの能力
パッサーとしての能力が高くても、ラインがダメなら、全然パス成功しません。またRBが全然ダメなら、相手ディフェンスはパスに重心をおきますから、成功率は当然下がります。レシーバーがパスルートにでることができないと、QBはパス投げれません。
というように、みんなの見えないミスが自分の成績になっちゃうというわけですね。逆にいうと、「みんながうまくやってくれてるから、自分の成績もいい」というわけです。だからQBはメンバーにすごく気を使うひとが多い。特にオフェンスラインのメンバーには「感謝」を伝えることを非常に積極的に行っています。
QBの能力としてはスターだった。しかしデイビッド・カーが恵まれなかったのは?
彼がドラフトで1位指名を受けたチームはテキサンズ。
ドラフトは2002年。ヒューストン・テキサンズは創設したばかりのチームでした。
アメリカのスポーツ情報誌は創設した1年目のQBを託すデイビッド・カーをスーパースターのようにもてはやします。夢のドラ1を獲得したカーも蝶よ花よと扱われ、大変舞い上がっていたことでしょう。
同期ドラフトメンバーには、DEジュリアス・ペッパーズ、DEドワイト・フリーニーなどがいますね。
しかしNFLのキャリアは散々なものに
これが不運の始まり。チームビルディングの素地もないチームで、ヘッドコーチもメンバーも、はてはオーナーもGMも。すべてが寄せ集めからスタートするわけです。当然ながらそんなチームは大きな成果があげられない。
テキサンズ在籍時の成績
シーズン | 勝敗 | QBレイティング | パス成功率 |
2002 | 4-12 | 62.8 | 52.5% |
2003 | 5-11 | 69.5 | 56.6% |
2004 | 7-9 | 83.5 | 61.2% |
2005 | 2-14 | 77.2 | 60.5% |
2006 | 6-10 | 82.1 | 68.3% |
と非常に悪い。これでは外に出されても仕方ないですね。だけど、この数字。決してカーだけの責任ではない。オフェンスラインもRBもあらゆるものをひっくるめてのこの結果。QBの成績というよりチームの成績といいたい。
だけども、それを「QBの責任だ!」としてしまうのが変化を貴ぶアメリカらしい。カーは即馘首され、新しいチームへ移転します。
しかし、それでも恵まれていたんです。だってテキサンズ時代は全部の試合でてたから。これからのカーは抜群に地に落ちた。
パンサーズ、ジャイアンツ、49ers、ジャイアンツと移籍
テキサンズの後、転々とします。テキサンズ時代に結果が残せなかった彼、パンサーズで最後のチャンスをもらいます。6試合に出場、136回のパスをトライして、73回だけ成功。パス成功率53.7%。QBレイトは史上最悪の58.3point。パンサーズは即クビです。
ここで彼の負け組キャリアが決定的なものになります。
これからの5年間、彼はNFLのチームには居続けるわけですが、試合に出れない。一年間で40回もパスさせてもらえない。最後の2年なんて、2年間でパス3回だけですからね。どれだけチャンスがないんだろうと思います。
現在のデイビッドは?
現在はNFLのリポーターをしています。長島一茂みたいな存在でしょうね。見た目もいいし、本人はNFLでの全体1位指名選手。しかも弟はNFLでトップクラスのQB。テレビ映りもいいし、しゃべらせても良い。解説させても抜群。言うことなしって感じでしょう。セカンド・キャリアが築けてよかった。
弟のデレックも兄のデイビッドもどっちも成功者だけど、ひょっとしたらマニング兄弟みたいになっていたかもしれない。そう思うところもある。NFLって非常な世界だよね。って改めて思う話でした。
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