スーパーボウルで、エンターテイメントとして、ではなく式典として大切にされてる歌が3つあります。
それが
国歌「星条旗」
愛国歌「America the Beautiful」
霊歌「Lift Every Voice and Sing」
この3つの歌です。今回の記事では、3番目の「Lift every voice and sing」について調べてみました。
NFLが日本でもっと浸透しますように。ではどうぞ。
123年前から黒人国歌として知られるゴスペル
この歌の歴史は古く、123年前の1900年に遡ります。奴隷解放運動を牽引したエイブラハム・リンカーンの誕生記念式典においてです。ジャクソンビルのジェイムス・ジョンソン牧師が、公民権運動のための詩を書きました。そして彼の弟が曲を作りました。それがこの歌です。(リンカーンは1865年に死んでいます)
123年の歴史の中で、いくつもアフリカン・アメリカンは差別を受けてきました。そんな事に屈しまいと彼らが心を一つにする機会の度に、この「Lift every Voice & Sing」が斉唱されてきました。
いつしか、この曲はただの賛美歌・ゴスペルではなく、「黒人社会の国歌」として認識されるようになります。アメリカのアフリカン・アメリカンと言われる人たちは、子供から老人まで、全員がこの歌を歌うのです。
NFLは2020年から、この歌をセレモニー化した
2020年といえば、黒人差別撲滅運動(Black lives Matter)が過熱化した年です。2012年に自警団に射殺された高校生トレイボン・マーティンさんの事件により、かねてより問題視されている黒人差別を解消する組織が誕生しました。
NFLでは2016年からQBコリン・キャパニックがニーダウンにより国歌斉唱に抗議するなどして、リーグ内でも大きな議論がありました。ときのトランプ大統領も「国民の範たるNFL選手が、国に忠誠を誓わないとは何事だ。」と、鼻息を荒くしていました。
抗議活動は、波紋のように広がり、「アメリカズチーム」とまで言われるダラス・カウボーイズでも、オーナー、ヘッドコーチ、アシスタント、選手全てに至る全員が肩を組みニーダウン。組織ごとの抗議にまで発展しました。
動画をよく見ると国歌斉唱ではニーダウンして、「lift every voice&sing」の時は立ち上がっています。
そして2020年5月にミネアポリスにてジョージ・フロイド氏が警察官に取り押さえられ、窒息死する事件が起こりました。これにより各地でも「Black Lives Matter」運動は、暴動のように過激に国内で広がっていくのです。
#StrongerTogether pic.twitter.com/sfwF9Uvgaa
— Patrick Mahomes II (@PatrickMahomes) 2020年6月5日
当時のパトリック・マホームズのTwitterです。アフリカン系にルーツをもつスター選手たちがリレー形式で「もし俺がジョージ・フロイドだったならどうなる?俺たちがNFLなんだ。Stronge Together」とNFLに正式に平和的に改善することを求めました。
We, the NFL, condemn racism and the systematic oppression of Black People. We, the NFL, admit we were wrong for not listening to NFL players earlier and encourage all to speak out and peacefully protest. We, the NFL, believe Black Lives Matter. #InspireChange pic.twitter.com/ENWQP8A0sv
— NFL (@NFL) 2020年6月5日
「黒人選手がいなければ、現在のNFLはなかったでしょう。全国の抗議活動は何世紀にも渡る彼らへの抑圧を象徴しています。NFLはより団結した組織になるために、前進するためにBlack Lives Matterを信じてます。」
そして2020年の6月。コミッショナーのロジャー・グッデルはTwitterで、これまでの姿勢を謝罪しました。同時に今後の方針声明を発信しました。
こうして2020年の開幕戦となるキックオフゲーム。国歌斉唱のまえに、黒人国歌である「Lift every Voice and Sing」が、アリシア・キースにより歌われるようになりました。(ですので2019年以前のスーパーボウルでは、このセレモニーはないはずです。)
過去スーパーボウルで歌われた霊歌
アリシア・キース / 2021年スーパーボウル
開幕戦で流したビデオが使われました。スーパーボウルではNFLバージョンに、選手の活動なども織り交ぜ、編集されています。
Mary Mary / 2022年スーパーボウル
メアリー・メアリーは姉妹ゴスペルデュオ。3回グラミー受賞してる超実力派。エリカ・キャンベル、トレシナ・キャンベルの二人。彼女たちの生まれ故郷が、sofi-stadiumのあるLAイングルウッドだったご縁。
2023年スーパーボウルは?
歌うのはシェリル・リー・ラルフ(Sheryl Lee Ralph)。実は歌手というより女優さんです。エミー賞受賞してますので、テレビ番組にでるドラマ俳優さんです。
しかし同時にもっと有名なのがこれ。ブロードウェイのミュージカル「ドリームガールズ」です。この写真だけだとわからんかもですが,,,,
Beyonceが主演の映画「ドリームガールズ」なら知ってる人いると思います。これは、ブロードウェイでの実話を映画にしたもので、要は今回歌うシェリル・ラルフの自伝映画なんですね。
とんねるずの「矢島美容室」のが分かりやすい。あのときのイメージが「ドリームガールズ」で、元ネタが、シェリル・リー・ラルフなんですね。
他にも歌も出してます。アルバムも1984年と2022年に合計2枚だしています。女優業、音楽業、舞台業と、大変多岐にわたる活躍を見せているスーパーレディです。
2005年にペンシルバニア州上院議員ヒューズさんと結婚されて、仲睦まじいくらしを過ごしているそうです。
まとめ
さぁ、いよいよあと、4日になりましたスーパーボウル。スポーツイベントとしても最高の最高のものですが、国民の心を一つにする大切な節目でもあります。いろんな意味で、この日はアメリカにとって大切な日。
ゲームだけでなく、こうしたセレモニーやパフォーマンスも見て。その歴史的背景が現在にも続いている事を、しっかり感じ取りたいと思います。日本人の僕ですが、背筋を伸ばして望みたいと思います。