今年もこの時期がやってきました。マイコーツ・マイクリーツ(MY CAUSE MY CLEATS)という企画。
NFL選手がデザインされたオリジナルスパイクを履いて、それをファン参加のオークションにかけます。その収益金を選手が指示する社会課題解決へ寄付するという運動です。
過去にもこんな記事を書いてきました。
今回はラッセル・ウィルソンのシューズ(クリーツ)について言及します。
NFLが日本でもっと浸透しますように。
ジョージ・フロイド、ブレンナ・テイラーをイメージ
シアトルに住むスターQBのラッセル・ウィルソンは、BLM運動の発端となった人物。銃撃で死亡したジョージ・フロイドさんと、同じく銃撃により死亡したブリオナ・テイラーさんをクリーツにデザインした。
Here are Russell Wilson’s #MyCauseMyCleats kicks, featuring images of George Floyd and Breonna Taylor.
— Dugar, Michael-Shawn (@MikeDugar) December 3, 2020
(📸: @Seahawks) pic.twitter.com/rj3DXJjlGq
こちらが、Twitterで流れた写真。シーホークスのイメージカラーである蛍光緑色(アクション・グリーンと呼ぶそうだ)をベースにしてます。
ウィルソンは、ジョージ・フロイドさんが銃で死亡したとき、直ちにZOOMで記者会見をしました。人前に出てインタビューを受けるとき、いつも最後に「Go!!!Hawks!!!」と結ぶんですが、初めてその掛け声が無かったそうです。
「変化しなければ。難しいことでない」
フロイドさんが死亡した5月25日。その1週間後の2020年6月3日にウィルソンはZOOMで語りました。「変化しなければならない。難しいことではない。」
ウィルソンはオハイオ州シンシナティ生まれ。彼もカラードと言われる有色人種で幼少期から人種差別を受けてきたそうです。父親と一緒にガソリンスタンドやスーパーに行く時、「おい!ポケットに手を入れるな!」と叱られたそうです。
それは何も行儀が悪いからということでなく、「黒人だから何か盗んだと誤解される」からなんです。今ではアメリカの大スターであるウィルソンも、小さいときは辛い思いをたくさんしてきたのでしょう。
今年コロナ禍の中の7月。愛する妻シアラとの間に男の子が誕生しました。名前はハリソン・ウィルソン君です。ウィルソン家は長男・長女・次男の3人。(ウィルソンはシアラの長男の継父でもあります)
この生まれたばかりの赤ちゃんには、自分が感じたような思いをしてほしくない。そんな強い思いで、ウィルソンはクリーツにジョージ・フロイドとブレンナ・テイラーさんをイメージしたんですね。
NFLのキャンペーンはマジ素晴らしいと思う。
NFLでは、退役軍人へ敬意を示すセレモニーがあったり、乳がん撲滅のためのピンクリボンがあったりと、数々のキャンペーン活動がシーズンに織り込まれています。僕はその中でも、このマイコーツ運動は秀逸の取り組みだと思います。個々人が声を上げて社会にメッセージを発するだけでは、ただの文句になってしまう。
そうじゃなくて、スター選手だという自分を使い、デザインという力を使い、そしてファンが参加できる
という仕組みを使い、解決すべき社会課題に資金が流れる。一般市民がキャンペーンを通じて啓発され、解決に向けた意識が高まる。こういった循環のすべてが、この運動に織り込まれています。
スポーツがただの娯楽でなく、国民生活の改善に向けて機能しているというのが、NFLの素晴らしい所。ぜひ私達の国、日本でも大いに参考にしたいところです。