さて、前回の記事でサラリーキャップがリーグに活性化をもたらしてくれることを解説しました。
今回の記事では、契約の内容で、どのようにサラリーキャップに計上するのかについて、詳しく解説してみたいと思います。
今回の記事を書くにあたり、グリーンベイ・パッカーズ のファンサイトを長年運営されてこられた元管理人のPacker ZONEさんに色々教えて頂きました。ご指導を心より感謝します。
日本でもっとNFLが浸透しますように。
NFL選手の契約は長期契約がほとんど
日本のプロ野球は1年間の契約がほとんどですが、NFLでは長期契約が多いです。もちろん1年間だけの契約もありますが、オフェンスラインの人気選手になれば7年契約というのもあります。
よって、彼らが契約する総額は非常に大金になります。この契約金額のうち、1年間の予算、サラリーキャップに計上されるのは、どの部分かについて説明します。
【計上するサラリーキャップの計算】
+)契約ボーナスの年割り
+)ベースサラリー
+)ロースターボーナス
+)ワークワウトボーナス
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=その年のキャップヒット
簡単にいうと、こうです。ちょっと実例で説明してみます。
QB最高額契約をした49ersのジミー・ガロポロの場合
ちょっと文字が小さいので見にくいかも知れないですが、これは49ersのQBジミー・ガロポロの契約内容です。左肩の赤い枠で区切った数字が契約総額で5年$137.5M(150億円くらい)ですね。さて、この大きな金額をどのようにサラリーキャップに計上するかです。
ベースサラリーとは?(BASE SALARY)
これは年間ごとの基本給みたいなもんです(ちょっと違うかも知れないけど)。この金額は最初低くて、後々高くなっていきます。これ結構ずるい内容ですよね。大型契約結んでおきながら、「1年目に怪我したり、イマイチだったら解雇するかもよ。」ってことです。
契約した時点でお金全額が入金されないんですね。ゲームが終わるたびに、小切手で支払われるのがNFLの支払い方法だそうです。ですので、1年目で解雇放出されちゃったら、いきなり収入なくなるので、キッツイわけですね。
サインボーナスとは?(SIGNNING BONUS)
次に青く区切った部分ですが、これはサインボーナスといいます。この金はサインした時点で直ちに全額振り込まれます。だから選手はベースサラリーよりもサインボーナスを大きくした契約のほうが嬉しいわけです。このあたりにGMと代理人との駆け引きがあるわけです。
キャッシュとしてお金は全額振り込まれるんですが、サラリーキャップに計上するのは平均年割りした数字です。決算書でいう減価償却費みたいなものですかね。
サラリーキャップに計上するのは(SALARY CAP)
これは緑色で区切った所の合計金額になります。当該年度のベースサラリー、年割りのサインボーナス、ロースターボーナス、ワークアウトボーナスの4種類を足します。
(2020年のガロポロの場合)
ベースサラリー=$23,800,000-
サインボーナス=$1,400,000-
ロースターボーナス=$80,000-
ワークアウトボーナス=$60,000-
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合計サラリーキャップ=$26,600,000-
と、こういう具合になります。このうち、サインボーナスは契約時に支払い済みなので、ガロポロが今年もらえる給料は、$1,400,000-を抜いた$25,200,000-(27.7億円)となります。
途中で解雇放出されたらどうなるの?
これは、ややこしい風に見えて意外にシンプルです。
解雇したら残契約分の支払いはしなくていいです。同時にキャップスペースにも計上しなくていいです。
しかし、契約時に既に支払っているサインボーナス分で、サラリーキャップ未計上分は、一気に全額計上する必要があります。これを「デッドキャップ(Dead Cap)」といいます。日本語でいうと「死に金」ですね。表のデッドキャップの欄は、「この年に解雇すると、これだけデッドキャップが発生しますよ」という意味です。
解雇された選手を貰い受けたチームは、残りの契約をそのまま引き継ぎます。サラリーキャップも同じように計上します。しかし、サインボーナス分はサラリーキャップに計上しないです。
色々複雑そうに見えますが、ものすごく単純にいうと、「支払った分をどこかで計上せなアカン」という仕組みですね。
まとめ
NFLを構成するお金という資源の使われ方を追いかけると、非常に面白いです。スポーツ経営の一面を覗き見する、そんなワクワクした気持ちになりますね。
また勉強していきたいと思います。これからもどうぞよろしく。
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