レギュラーシーズンも終わり、いまはポストシーズンに入っています。プレーオフに進出できたチームは実に前向きに努力をし続けてますが、そうでないチームのほうがもちろん多いわけです。
各カンファレンスで6チームがプレーオフに、そうでない10チームが落第。その中でも長年結果が出せなかった指導者たちは、残念なことに厳しい人事の対象になっております。今回の記事では、各チームごとに簡単に人事の総括をしてみます。
日本でもっとNFLが浸透しますように。
- ブラウンズ 新HCケヴィン・ステファンスキー(Kevin Stefanski)
- ジャイアンツ 新HCジョー・ジャッジ(Joe Judge)
- パンサーズ新HCマット・ルール(Matt Rhule)
- カウボーイズ 新HCマイク・マッカーシー
- レッドスキンズ 新HCロン・リベラ
- まとめ
ブラウンズ 新HCケヴィン・ステファンスキー
(Kevin Stefanski)
2019年のブラウンズを率いたHCフレディー・キッチンズは、2018年にOCから昇格した人物でした。数々のスター選手を擁しておりましたが、うまく人材を扱えなかったようです。特に2019年のブラウンズはガバナンスが機能せず、モラルハザードがかなり見られました。(大乱闘事件になったスティーラーズ戦の記事を参考ください)
6勝10敗と勝負に勝てない事以上に、組織のブランド低下は重視するべき事態です。それもあり、フレディー・キッチンズは解雇処分となり、新しいHCが就任することになりました。
新しくHCになったケヴィン・ステファンスキーは、2006年からNFLのコーチとして活動している人。1982年生まれで今年37歳になる若手のコーチです。キャリアは15年目、ずっとミネソタ・バイキングスに貢献しており、QB、TE、RB、OL、などの専門コーチを経て、2019年にはOCを担当しました。
ブラウンズのO#メンバーはオデル・ベッカムJR、ジャービス・ランドリー、カリーム・ハントなど、タレントにあふれています。傲岸不遜になりがちな1流選手たちを、しっかりとまとめ上げ、一枚岩の組織にしたてあげる統率力が求められています。それは今までのOCとしての能力だけでは不足です。彼の今後に期待したいですね。
ジャイアンツ 新HCジョー・ジャッジ
(Joe Judge)
前HCパット・シューマーは、2018年と2019年の2年間、ジャイアンツを率いてきました。彼はアンディ・リードHCの弟子に当たる人で、1999年からコーチ業を歩んできたキャリア20年になるベテランです。しかし期待された結果は残せませんでした。
この2年間のジャイアンツの戦績は、9勝23敗。地区3位と最下位の状況でした。特にチーム改善の兆しも見つけられず、彼にこのまま船頭を担当させても回復しないだろうという見込みを立ってしまいました。シューマーさんは、HCをクビになりますが、来年からはブロンコスのOCを担当するそうです。
ジャイアンツの新HCになる人は、ジョー・ジャッジ。なんとペイトリオッツのスペシャルチームコーチをしていた人です。カレッジを経て2012年からベリチックHCのもと、SPチームのコーディネーターとして貢献してきました。
ベリチック門下生としてパトリシアに次ぐ2人目のHC誕生。期待が膨らみます。彼は1981年生まれの38歳、比較的若いほうだと思います。
パンサーズ新HCマット・ルール(Matt Rhule)
親分の愛称で日本のNFLファンに人気だったロン・リベラHC。9年間という長期間にわたり強いパンサーズを作り上げた人物で、キャム・ニュートンを擁してスーパーボウルの舞台までチームを牽引した手腕もあります。
しかし、DCをしてきたスティーブ・ウィルクスが引き抜かれてから、D#チームが崩壊。LB出身のロン・リベラHC自らがプレーコールをしていたが、全く機能せず、チームは敗退。RBクリスチャン・マキャフリーを中心にO#チームがいい働きをしているがゆえに、D#チームの機能不全は致命的に映る。
その責任をオーナーに問われ、ロン・リベラはシーズン途中で解任というニュースになった。しかし、お調子者のお殿様、QBキャム・ニュートンへの指導や育成、チームビルディングの手腕については1流の評価を出してよいと思います。
さて、新HCになったマット・ルールは、NFL経験ゼロの人間です。2012年にNYGでオフェンスラインのアシスタントコーチを1年だけ経験してますが、それ以上にNFL経験はなく、主にカレッジで活躍しているコーチです。
彼はカレッジでは2013-2016年にテンプル大学のHC、2017-2019年にベイラー大学のHCを担当しており、HC経験としては7年間のキャリアがあります。
テンプル大学HC就任時は、2勝10敗のチームでしたが、彼の指導のもと4年でAAC(アメリカン・アスレティック・カンファレンス)のチャンピオンになるまでチームを強くし、見事な仕事ぶりを発揮しました。
また翌年から就任したベイラー大学も、1勝しかあげられないチームでしたが、たったの3年でチャンピオンタイトルを争うチームに育て上げるなど、指導力の高さには高い評価があがります。しかし、NFLの舞台はまだ未経験です。彼の能力がプロリーグでも発揮されるかどうか、大変未知数です。
カウボーイズ 新HCマイク・マッカーシー
カウボーイズを率いてきたジェイソン・ギャレットHCは、近年のパッとしない成績ぶりに、ファンからも厳しいプレッシャーをかけられていました。NFLでも最大規模といわれるAT&Tスタジアムに、「Fire Garrett」「We needs New HC」と書いたプラカードが集まるほど、信頼を失っていました。
「あいつはクビにしない」と浪花節を前面に出していたオーナーのジェリー・ジョーンズも、ついに決心をし、新しくHCを探すことになったようです。しかし客観的な視点からみると、ジェリー・ジョーンズがGMをしている時点で抜本的な改革は望めないだろうと予感していまします。どうしても権力者であるジョーンズに忖度したマネジメントをさせられるような気がします。
ちなみにギャレットは、ジャイアンツのOCに就任したそうです。
さて、新しくHCに就任したのが、なんとマイク・マッカーシー。グリーンベイ・パッカーズで長らくHCをしてきたベテラン指導者です。カウボーイズとパッカーズとはライバル関係にあり、プレーオフでも死闘を繰り広げてきた関係もあり、この人事には驚きを覚えました。
同時に「なんでもっと若い人にHCさせないんだろう」という感触もあり、やはりカウボーイズは保守的な香りがするな、おっさん化していくのかな。という嫌な予感がしてしまいます。マッカーシーHCは今年で56歳。パッカーズでのHC歴はなんと13年。NFLでは古株の人物。カウボーイズに改革をもたらす人物になるのか、QBプレスコットとの相性はどうなんだろうと不安を覚えます。
レッドスキンズ 新HCロン・リベラ
6年間チームを率いてきたジェイ・グルーデンHCは、シーズン途中で解雇になりました。彼はレイダースのHCジョン・グルーデンの弟でして、兄弟揃ってHCをしている面白さがあったんですがね。チームは残念ながら弱かったです。
彼が担当した6年間での戦績は、35勝49敗と完全負け越し。地区優勝できたのが2015寝シーズンだけで、プレーオフでは1勝もあげれませんでした。(つまりワイルドカードであがってきたチームに負けたってことね)。彼の来年以降の行き先については、決まっていません。おそらくレイダースの兄グルーデンのところで、何か下働きをするのではないか。と思います。
さて、そこに新HCになるのが、親分ロン・リベラ。パンサーズの指導力を見る限り、彼には大きな期待をかけて良いと思います。パンサーズの終盤にはDCの人材不足で苦戦しましたが、しっかりと組織地盤を固めることができれば、親分率いるレッドスキンズは強力なチームになるのではないかと思います。
まとめ
新しい指導者を迎えたチームがどう生まれ変わるのか。NFLをスポーツでなく、経営のモデルとして見る僕にとっては、大変興味ぶかいことです。2020年シーズンのキックオフは9月ですが、組織を運営する彼ら指導者の仕事はもうスタートしています。
彼らがどんなチームを作り上げてくるのか。それがとっても楽しみです。来年もブラウンズに期待してしまいますね!