日本語でいうところの監督。それがヘッドコーチです。以前GM(ゼネラル・マネージャー)との違いについて簡単に書いた通り、
GM=(カネ)を使って(ヒト)を集めるHC=(ヒト)を使って(ゲーム)に勝つ。
という違いがあります。スポーツも経営者と同じようなものでしょうね。より現場に近いほうが、HCということです。
日本のプロ野球では、監督の下に配属される各専門別のコーチのことをヘッドコーチと呼びますが、アメリカでは監督=ヘッドコーチです。ヘッドコーチよりも権限をもっているコーチはおりません。さて、そんなコーチ職を詳しく紹介しましょう。
HCの3つの仕事
さてHC職は、これがまた多岐に渡ります。
大きく分けると、この3点でしょう。
- 人事
- 職務分掌
- ゲーム中の判断
少し細かく紹介していきます。
①人事(Human Resources)
人事というのは、どの選手をスターターに起用するかが、メインです。アメフトNFLの場合、チームの構成員は全部で53人です。これをRoster(ロースター)といいます。このロースターに入っているか否かで、試合に出れるかどうかが決まります。また試合に出た選手が怪我をしてしまうと、試合に使える駒が減ります。こんな場合怪我した選手をinactive登録にして、roster登録選手をもう一人増やすことができます。こうして、常に毎ゲーム53人の出場可能選手を確保します。
その中で、スターター(メインで使う選手たち)を決定するのが、ヘッドコーチの最も大事な役割でしょう。
②職務分掌(assignment)
職務分掌という言葉は会社組織でも使いますが、簡単に呼ぶと「役割」のことですね。アメフトでいうと、「アサイメント」と呼びます。大きく分けると、QBには何を望む?RBには、WRには何を望むか?です。パスプレーが多いチームならば、RBはパスプロテクションの能力を要求しますし、またWRのようにパスキャッチする能力も求めます。ディフェンスにも同様に、ゾーンカバーやマンカバーなど、都度都度で役割が違うはずです。このように各プレイごとのアサイメントを決定した指示書をまとめたものを、「プレイブック」と呼びます。これをヘッドコーチが作成するんですね。当然オフェンスコーディネーターや、ディフェンスコーディネーターと一緒になって作るわけですが、責任と権限はヘッドコーチにあります。
このアサイメントが確定したら、ひたすら練習です。アサイメント通りに体が動くか、選手同士の連携はベストタイミングか、またフィジカル面でも役割を全うできるか、などをひたすら練習していきます。
③ゲーム中の判断
そして、いざゲーム(試合)になれば、ほぼヘッドコーチの仕事はほぼありません。あとは選手に任せるだけ。となります。ゲーム中の判断は、選手の交代を決定すること。その他は、レッドゾーンで、FGを蹴るか、それともギャンブルでタッチダウンを狙うか。またタッチダウン後のトライフォーを蹴るか2ポイントを狙うか。またはチャレンジといって審判の采配に不服を言うなど、急な判断はヘッドコーチが決断します。
④その他サポートコーチ陣の招聘(ヘッドコーチをサポートするコーチ陣)
OC(オフェンス・コーディネーター)は、オフェンス面での責任者、
DC(ディフェンス・コーディネーター)は、ディフェンス面での責任者。
SC(スペシャルチームコーチ)は、キック、パント、フィールドゴールの責任者。
さらにその下には、QBコーチ、RBコーチ、OLコーチ、TEコーチ、WRコーチ、DLコーチ、LBコーチ、DBコーチと様々な専門職コーチが選手にびったりくっついて、指導していきます。
さらには怪我や、リカバリをケアするチームも必要です。
ヘッドコーチは、これらの優れた専門スタッフを集めるのも大事な仕事です。いくら自分の考えが立派であろうと、その意思通りにコーチングする人材を持たないコーチは砂上の楼閣。実行部隊が必要なのです。
コーチを選ぶ上で、大事な3点とNGな3点として、特集記事がまとめられてますので紹介します。