NFL1シーズン完全密着取材ドキュメンタリー 今回はラムズ!
前回のオール・オア・ナッシング、通称AONは、アリゾナ・カージナルズの2015年シーズンに密着していました。カージナルズはこのシーズン、11勝をおさめてプレーオフに進出。チームの中の空気も最高で、観ていて本当に気持ちが高揚する素晴らしいドキュメンタリーでした。
2作目は羊軍団ラムズ
対して、今回の第二弾。密着したチームは、9年連続負け越しのセントルイス・ラムズ。予告編のトレイラーから、なんだかネガティブな空気がドロドロと流れています。それどころか、HCのジェフ・フィッシャーがチームメンバーの前で「俺は首になった」と宣告するシーンまで。
輝かしい記録となった1stシーズンとは打って変わって、2ndシーズンはNFLの闇の部分を意識させてくれる名作となりました。これはこれで最高に面白い!是非とも観ていただきたい!僕のブログでネタバレとなりますが、感じたことを紹介していきたいと思います。さて、まずはトレイラーをご覧ください。
いや〜〜テンション上がりますよね。この「ジャンジャンジャンジャン!」っていうバックミュージックがたまりませんね。本当に観て下さい!最高です!
出演選手たち
何と言っても主役はこの人、HCジェフ・フィッシャー
QBケース・キーナム
QBジャレッド・ゴフ
DTアーロン・ドナルド
RBトッド・ガーリー
あらすじ
冒頭からロサンゼルスに移転の話
ラムズの歴史はクリーブランドから始まって、ロサンゼルスに移り、次はセントルイスに移ります。1995年から2015年の20年間、セントルイスを代表するチームとして輝かしい成績を残し、第34回スーパーボウルでは優勝を果たしている。
セントルイス市からすると、わが町に誇りであるラムズ移転は晴天の霹靂。さらに9年連続負け越しのチームがフランチャイズを移転するということは選手にとっても大きな負担となる話だった。
しかしオーナーのスタン・クロエンケは断行する。巨額の24億ドルを投資し、ロサンゼルス、イングルウッドに1.2k㎡の巨大スタジアムを建設が動き出した。ラムズはそれをまたずロスに移転する。
セントルイス市民の気持ちはさておき、ラムズが古巣ロサンゼルスに帰って来たこと、さらに新しいスタジアムができること、それに何より、ロサンゼルス南部の街にとっては待望のNFLチームができたこと。様々なことが市民にとっては感動だったようだ。予想通りロサンゼルス市民には暖かく迎えられた新ラムズ。選手たちにとっても環境が変わるというハンデを補って余りあるほどの大きな追い風となるのでないか。そんなポジティブな空気から、このドキュメンタリーはスタートする。
期待の新人QBジャレッド・ゴフに期待を寄せるファン
2016年のドラフトは全体1位指名権をタイタンズがもっていた。11年連続でプレーオフ進出を逃してるだけでなく9年連続で負け越しのラムズは、ここらで大きなテコ入れをしたかったようだ。15位からの大きなトレードアップで、注目選手だったQBジャレッド・ゴフを手に入れた。
ラムズファンからすると、ロスに移転するし、新QB獲得で、新しいラムズの時代が到来する、そんな期待を寄せるオフシーズンのスタートだったわけだ。しかし、そんな期待を裏切ってHCはゴフを先発に使わなかった。
不調のQBを使い続けるHCジェフ・フィッシャー
「なんでゴフを先発にしないのか」という世間の圧力を横目に、QBケース・キーナムを起用し続けるHC。まだゴフは準備が完了していないという元での判断だったが、そのHCの英断を無視する形で、チームは不遇の時代を抜け出せない。
当初4試合はキーナムが49ers戦を負けたところからスタートするが、その後3試合連勝。しかし、その内容はタッチダウン無し。得点はフィールドゴールのみという体たらく。勝利はディフェンスチームがもぎ取ってきたようなものだ。その後、チームはNYJETSに対する9週目の試合まで、4連敗を喫する。
HCに対する外圧はそれはすごいもので、8週目の試合中には「ゴフを出せ!」とブーイングを浴びる始末。オーナーのスタン・クロエンケにも詰められている。
殿堂入りRBエリック・ディッカーソンとの確執
歴代RBの中で、最も優秀な成績を残しているエリック・ディッカーソンは、ラムズを牽引してきた選手の1人である。年間獲得ラッシュydsのレコードは未だ破られていない。そんな彼がHCのフィッシャーに問い詰める。
「何で言ったとおりにゴフを出さないんだ、君はHC失格だ!それはそうと、スタジアムのフリーパスをくれないか」HCとディッカーソンの確執はNFLテレビでも報道された。
それは主に「偉人の言うことを耳を傾けない頑固な男のせいでチームは低迷している」という偏向報道という形で流されていたようだ。
ついに10試合目に先発になる全体1位指名のQBジャレッド・ゴフ
9週目のJETS戦、ケイス・キーナムは相変わらず先発QBとしてプレイする。ありがたいことに、久々の勝利をおさめた。しかし、今までの結果が災いしてか、やはり降板を余儀なくされる。
いよいよ10週目のマイアミ・ドルフィンズ戦。満を持してゴフは先発QBとして出場する。待望のタッチダウンをチームにプレゼントするが、チームは敗北。ゴフは以後残された7試合のうち、怪我で出場できなかった1試合を覗いて6試合に出場したわけだが、一度も勝利することができなかった。
14週目を目前に突如解雇通告をされるHC
ついにHCに解雇通告が言い渡される。コーチの前で感謝を伝えるHCのジェフ・フィッシャーの姿には、畏敬の念を感じる。メンバーを集めた11時半からのミーティングでHCから最後のスピーチを聞かされた選手たち。みな自分たちの不出来が原因で、大事なHCを失ったと喪失感と後悔の念で自責する。
立ち込めるマイナスの空気。時間は巻き戻せない。みな立ち上がってスピーチする。泣き出す選手もいる。コーチたちもこのシーズンが終われば、HC同様に解雇されることを覚悟している。それでも尚、最後の3試合を勝とうと言う。
「NFLの24時間ルールだ。すべてのことを1日で忘れて、次に集中するんだ」
HCのジェフ・フィッシャーが常々言っていた言葉が、彼らの行動によって実現されていく。
これからのラムズに大きな期待
新HCには、NFLリーグの歴史で、もっとも若い31歳のショーン・マクベイが起用された。レッドスキンズのオフェンスコーディネーターで、控え選手だったQBカーク・カズンズを今のパフォーマンスまで育て上げ、またTEコーチ時代には、ジョーダン・リードをチームのエースレシーバーに鍛え上げた辣腕の持ち主だ。
数多くのテコ入れがあったようだ。フランチャイズQBとして活躍していたケース・キーナムはFA選手となりミネソタ・バイキングスの控えQBとして1年契約を交わした。
また、ここぞというタイミングで落球したTEのランス・ヘンドリックスは容赦なく解雇。グリーンベイに移籍が決定。ゴフのパスを受けて3度ほどタッチダウンをしたWRのケニー・ブリットも解雇。クリーブランドに移籍。セイフティのTjマクドナルドもマイアミドルフィンズに移籍。やっぱりNFLは何も保証しない。
QBジャレッド・ゴフ、RBトッド・ガーリー、DTアーロン・ドナルド、DEロバート・クイン、CBトルメイン・ジョンソンなど主要選手は引き続きチームに残ったようだ。
コーチ陣も一進されたようだけど、スペシャルチームから臨時HCに抜擢されたジョン・ファッセル(NYジャイアンツの元HCの息子)だけは、元の鞘にもどったようだ。
やっぱり結局オススメですわ
ラムズの新時代はまだ始まったばかり。そんな改革期の混沌とした空気を感じさせてくれる名作であった。 とにかく観て欲しい!