NFLを見ていますと、知らない専門用語が出てきます。今回は「5年目オプション」について解説しますね。
5年目オプションとは
多くのドラフト生のルーキーたちは、4年間の契約を球団側と交わします。4年間が経過し5年目になれば、FA市場にでて今までの球団と契約を結ぶか、それとも他のチームと契約しチームを去るかの2択を迫られます。
しかし、ドラフト1巡選手の32名にだけは、契約期間が5年と特別な契約になっています。それが5年目契約というものです。これは2011年にNFLリーグと選手達との労使協定の中で締結された決まりごとです。本来であれば5年目は新規契約ですが、彼らには、既存チームでもう1年間プレイする権利があります。先日超大型契約を結んだQBデレック・カーは2巡指名選手でしたので、5年目契約はなく新規契約となったわけですね。
ただ、この5年目も引き続き、プレイして欲しいかどうかは、チームが決めることなんですね。しかも、5年面の契約を行使するタイミングですが、これは4年目のシーズンが始まる前に済ませて置かなければなりません。
さらに延長契約の金額ですが、これもその当時の労使協定ではっきりと決まっていまして、全体1位指名~10位指名の選手は、そのポジションのトップ10人のサラリーの平均、11位~32位の22名については、サラリー3位~25位の選手平均がサラリーになります。まぁざっくり言ってQBだったら15M$~22M$ってところでしょうか。
選手側のメリット、球団側のメリット
この5年目オプションは、フランチャイズタグという仕組みに似ていますが、チームにとってありがたい契約というのが、少し違うところでしょう。
もし仮に、超優秀な選手だとしたら、FA市場での値段は跳ね上がってしまい、延長契約を結ぼうと思うと、相当に予算を組まないといけないのです。しかし、この5年目オプションがあるおかげで、支払うサラリーをグッと抑えることができます。
そして逆に、獲得した選手がもう一つパットしないけど、まだ様子をみたいという感じならば、5年目オプションを行使しても延長契約は単年契約なので、次の1年間(つまり4年目)にもう一度様子をみて、働きが悪ければ、5年目となるドラフトで首のすげ替えを考えることができます。しかも資金は支払う必要がありますが、デッドキャップはありません。
1巡指名なのに、5年目オプションが行使されなかった選手というのは、端的にいうと「不要」と言われたと同じようなものですね。チームとして有利な契約を結ぶ権利があるのに、それを使わないわけですから。とすると、それは、事実上の放出宣言に近いですよね。こうして1年を待たずに選手の行く末を予想することができるわけです。
選手側のメリットとすれば、5年目オプションは、たとえ怪我をして出場できなかったとしても、全額支払い義務がありますので、食いっぱぐれることはありません。これくらいでしょうね。
5年目オプションが行使されなかった選手
みて分かる通り、ほとんどの選手は5年目オプションが行使されています。行使されなかったのは、よほど期待はずれだったといえます。さてそれでは、5年目オプションが行使されなかった「2014年ドラフトガッカリ選手たち」を紹介します。
No. 8 pick CB ジャスティン・ギルバート Justin Gilbert, Cleveland Browns
行使されずどころか、素行不良でチームから爪弾き。スティーラーズにトレード。そしてスティーラーズからも解雇されました。彼はNFLに復帰できなそう。1巡で指名されるって、本当にすごいことなのに、人間不思議なものですね。
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No. 14 pick CB カイル・フラー Kyle Fuller, Chicago Bears
彼はものすごい優秀なCB。ドラフトされた2014年からすべての試合にフル参加していて、2015年シーズンでは、最も避けるべきCBのうちの5人に選ばれるなど、NFL全体からも注目を浴びていた選手だった。
しかしそれが、何が原因かちょっと調べきれなかったですが、2016年の8月18日に膝の内視鏡手術を受けていて、昨年1年間は試合に出ていません。ベアーズとしては彼をトレードする気持ちは無いように思いますね。早く怪我から復帰してほしいですね。
No. 22 pick QB ジョニー・マンジール Johnny Manziel, Cleveland Browns
近年のクリーブランドがドラフトでおかした最もひどいミス。と揶揄されるのが、この男、ジョニー・マンジールの獲得でした。カレッジでは1年生の頃、ハイズマン賞を受賞するなど大きな栄光を手に入れ、プロフットボーラーとしての素地は良かったのですが、なんとも心の部分が幼稚すぎた。
ドラフトではマネーポーズ(親指と人差し指をこすりあわせるポーズ)で叩かれ炎上。プライベートで酒飲みすぎてキャンプに遅刻、試合中対戦相手にファックポーズ、ファンと乱闘騒ぎ、チームミーティングに参加しない(QBなのに!!!)、挙句の果てには、酒飲みすぎてアルコール依存症と発表・・・・。など問題活動連発で、球団からも
「コラボケおどれ、ええ加減にしくされ!散々わしら改めよって言うてきたのに、また問題ばっかおこしくさって。ブラウンズを舐めんとんのか?もうお前とは縁切りじゃ!どこへなと行きさらせ、こんボケカス!」
と、こんな声明が発表されて、ジョニーは2016年の3月にクリーブランドから放出。結局誰も彼をピックアップせずに、いまなお流浪人をしています。
だけども、今年の3月に美人モデルと結婚と、プライベートは充実してるみたい。オデル・ベッカムとも仲良しみたいなので、NFLの舞台に戻ってきてほしいものだ。プレイを見てみたい。
No. 29 pick DT ドミニク・イーズリー Dominique Easley, New England Patriots
ニューイングランド・ペイトリオッツのDTとして指名を受けていたが、2016年に解雇処分を言い渡されてます。現在は、ロサンゼルス・ラムズに移籍がうまくいきまして、そっちで2016年シーズンは16試合フル出場しています。ただ1巡指名選手としては、格安の年間1.75M$(1.9億円)
なんか問題が合ったみたいですね、この選手も。
No. 32 pick QB テディ・ブリッジウォーター Teddy Bridgewater, Minnesota Vikings
ミネソタ・バイキングスのQB。2014年2015年は、エース級の活躍をしていたのですが、2016年にサム・ブラッドフォードをトレードしてから、すっぽりエースQBの座を奪われてしまった。2016年には1試合も出ていませんね。もったいない感じ。そんなにブラッドフォードがいいQBだとは思いませんがね。