2017年2月6日(月)現地時間は日曜日か。
第51回目となるスーパーボールがTEXAS、HOUSTONシティにて開催された。9回目の出場となる39歳トム・ブレイディ。今回勝利すれば、なんと5度目のビンス・ロンバルディ・トロフィー取得という快挙。かたやアトランタ・ファルコンズのQBマット・ライアンは、初のスーパーボール出場。年齢は31歳とNFL10年目。やっと一流のQBとして認められる、そんな日になるか。
圧倒的な攻撃力を持つファルコンズ。ドレッドヘアのRBであるフリーマンは、175cmという小柄ながらも、常人離れしたスピードスター。目の前から消えるようなカットを見せた瞬間に、トップスピードにのり周囲を置き去りにする。タックルにも粘り強い足腰を見せる。昨シーズンでも大活躍の名人WRフリオジョーンズは、スラリと伸びる恵まれた四肢と、その俊敏さによってフィールドのすべてにパスコースを作り出し、素晴らしいキャッチングを見せてくれる。
トム・ブレイディ率いるペイトリオッツは、ベリチックHCが作り上げた常勝軍団。好きのない、ミスのない、そして諦めない。前を向き続ける最強のチームだ。TEのグロンコウスキは怪我で出場できないハンデがあるものの、11番のジュリアン・エデルマン、12番のクリス・ホーガンはいつだってブレイディの弾丸パスを受け止めてきたし、RBのルイスにホワイトも電光石火の走りを見せてくれる。そして何より、LBハイタワーを中心としたディフェンスが最強だ。
ハーフタイムではレディ・ガガが圧倒的なパフォーマンスを魅せてくれる。非常に楽しみな試合だ。
ということで、JCの友人でもあり、同じ北高アメフト部時代のチームメイトでもある、清水タカヒロと共に名古屋のHootersにて生試合を見てきた。2000円のセット料金を支払い、英語中継だけ、という条件付きだ。
国歌斉唱の前にこの3人がラブ・アメリカとかっていう曲を歌っていました。店内は金髪ボインちゃんは残念ながらいませんでしたが、ホットパンツからスラリと伸びる足に、触ればポヨンポヨンしそうなお尻にたまに目が奪われ、45分という長い待ち時間も楽しい時間に変えてくれました。
地元TEXASのロカビリー歌手による国歌斉唱。メチャうまい。
1Q
さて、いよいよ両チームが入場して、ニューイングランドからの攻撃で1Qが始まりました。これはどちらも点が入らない。ペイトリオッツに至っては、ファーストダウンすら取れない。オードリーの若林も「得点力のあるチーム同士は意外にロースコアが多い」と言っていたが、そんな予感を感じさせる展開。
2Q
ファルコンズオフェンスが火を吹いた。まずはフリーマンだ。彼が電光石火の速さでペイトリオッツ陣に深く切り込んだ。マット・ライアンのオーディブルも冴え渡り、フリーマンのこれみよがしなダイビングタッチダウンで、0-7。
その後ペイトリオッツのオフェンスは精彩を欠く。ホーガンもエデルマンも落球。パスプロは弱く、ディフェンスエンドが毎度のように、トム・ブレイディを狙いにくる。ラッシュもゲインできない。とにかくオフェンスラインが負け続けだった。そうしてターンオーバーを経て、ファルコンズは2本めのタッチダウン。
次のペイトリオッツのターンで、なんとトム・ブレイディが驚きのインターセプトタッチダウンを食らう。
今季のペイトリオッツのすべての試合で、0-21となった展開は初めてだろう。フルボッコ状態だった。さすがのベリチックも手も足も出ず。
という状態だ。その後のターンにペイトリオッツはようやくタッチダウン間際のパスを通した。前半一本返して、後半戦!かと思いきや、これが味方のフォールディングにより、ファーストダウン取り消し。FG3点のみとなる。
誰もが予想しなかった3-21で前半戦は終了したのだ。それこそファルコンズのヘッドコーチでさえも予想しなかった3-21で。
ハーフタイムショー
強烈なスパンコールを顔に張った、さながら前身輝くトカゲのような出で立ちで、レディ・ガガが宙を舞った。
どんなセットリストだろうか。宙吊りの状態から「edge of Glory」を。次に世界を制した曲、駆け引きのゲームにふさわしいポーカー・フェイス。
そして中央ステージに移り、「Born this Way」にビヨンセとのコラボ曲「Telephone」を転がりながら歌い続ける!
さらにゴールドのジャケットを羽織り、ショルダーキーボードを手に「Just Dance」ではロックなパフォーマンスを。
続くバラード「A Million Reasons」。ピアノを弾きながら歌い、観客が灯火を照らす。その光がHOUSTONのスタジアムを包みだしたころ、
ガガは一転、真っ白な衣装にチェンジ。フットボールのプロテクタをかたどった衣装で、燃え盛る業火を背景に、ダンサーと踊りまくり、スタジアムからおびただしい花火を打ち上げながら沢山の花火が打ち上がる中、代表曲「Bad Romance」で圧巻のフィナーレを迎えた。
3Q
さぁどうなるか、という第三クォーターがスタートした。せっかくのSuper Bowl!しょぼい試合は見たくない。ヒューストンにいるヤツラと僕達も同じだ。「GO!ペイトリオッツ!一本返そうぜ!」その気持ちだった。しかし応援の甲斐なく、ファルコンズDEのグレイディジャレッドが、最強のパフォーマンスを見せる!サック連発!
ペイトリオッツはパントを余儀なくされ、ファルコンズにターンオーバー。そしてこのターンでなんと4本目のタッチダウンがファルコンズに。「もうダメだ!今年はハズれ年だ。」「ペイトリオッツはもう勝てない、さすがのブレイディでも」。そう思った。
その後、ペイトリオッツのターンで何度かのファルコンズディフェンス陣のファールにより、ファルコンズのエンドゾーンにペイトリオッツが迫る。一本返せ!ペイトリオッツ!5yの短いショートパスをRBホワイトに通して、やっと初めてのタッチダウン。
しかし、そのあとのトライフォーポイント。ゴストウスキが大きく外す。ベリチックとブレイディの落胆する姿がアリアリと伝わってきた。
流れに乗れないペイトリオッツ。最悪のムードで4Qに入る。
4Q
さぁどうなるか、この15分。スコアは9-28・・・・ボロボロだ。ヒューストンにいるペイトリオッツファンも、みなが諦めていたが、この男だけは冷静に情熱を燃やしていた。そうトム・ブレイディだ。不屈の精神でTEにパスを投げる。タッチダウンまでは行かないが、FGの3点をもぎ取り12-28。
「16点差・・・・TD2本と、2ポイントコンバージョンを2回成功させないといけない。」まだまだ奇跡といっていいスコアである。そこで、ペイトリオッツは勝負の姿勢を崩さない。決死のオンサイドキック!しかし、これは失敗に終わってしまう。
「そうそうミラクルは起きない。」と試合を眺めながら思っていたら、QBマット・ライアンを、LBハイタワーが猛烈に襲いかかった!
サック!!!、、、、そしてファンブル!!!
ディフェンスラインがそのルーズボールを敵陣47yでもぎ取った!決死の覚悟で一丸となったチームが手にした一筋の希望。このチャンスをブレイディは無駄にしなかった。6yの短いパスをアメンドーラに。その後、2ポイントコンバージョンにも成功し、点差を1ポゼッションに縮めた。
残り、5分。
ペイトリオッツはロングキック。ファルコンズを敵陣10yに封じ込める。しかし、シーズン最高の攻撃力をもつファルコンズ。マット・ライアンはファーストダウンから、フリーマンに託し、オープンスペースをのびのびと40ヤードゲインする。
そして、また次のファーストダウン。マット・ライアンはWRフリオジョーンズにロングパスを投げた!エースWRのフリオジョーンズ、ミラクルキャッチ!!!CBとFSの両方を振り切って、ものすごいキャッチでパスを成功させ、ペイトリオッツ陣30y地点まで進み、一気にゲームを決めにかかった。
まさに飛車と角!ファルコンズの攻撃は止められないのか!
もうFGレンジ。FGが成功すれば11点差となり軍配が上がってしまう。ここが勝負どころだ。1stダウン・マット・ライアンはRBフリーマンにピッチするが、ペイトリオッツディフェンスはこれをしっかり止めて1ヤードロス。2ndダウン11、マット・ライアンはパスプレーを選択。
そこでペイトリオッツのラインバッカーはQBサック!!!!3rdダウン23!!!!ファルコンズ、オフェンス陣は、FGをけるのか???
いや、ショットガンフォーメーションだ!まさかパスプレーを選んだ!どうなる??マット・ライアンにボールが渡る、左WRサヌーにパス!うぉぉ!パス成功!もう一度FGレンジに入った!これで4thダウンはFGだ!
しかし!!!そこで黄色のフラッグ!、オフェンスファール!ホールディング!なんと10ヤード罰退!4thダウン33!
ファルコンズはフィールド中央まで押し戻され、FGを蹴ることができなかった。ペイトリオッツディフェンス陣の超ファインプレーだ。ファルコンズはパントし、ペイトリオッツは90ヤードの道のりを残された。ゲームは最高潮!
残り3分。
ブレイディは燃えに燃えた。観客もまさかこんな展開になるとは思ってもいなかった。ここからペイトリオッツはすべてノーハドル。QBの即断即決に、オフェンス陣が即対応する。そして、二度のファーストダウンを獲得したころ、エデルマンにロングパスがでる。この試合、エデルマンは全くキャッチできてなかった。エデルマンにはCBとSS,FSの三枚がいた。しかし、ブレイディはそこに投げた。
CBがボールに触れて、「ああパスは失敗だ!やはりエデルマンには今日はダメなんだ!!!!」そう思ったが、エデルマンは諦めなかった。地面すれすれを漂うボールに手を出し、それをミラクルキャッチ!!!!
このキャッチの瞬間は1万人のうつ病患者を助けるほどのエンドルフィンとドーパミンを放出させた。
この後、ホワイトにショートパスを投げ、敵陣1ヤード。もう一度、ホワイトがエンドゾーンに押し込んだ!2ポイントコンバージョンは、失敗し続けたスクリーンパスを受け取ったアメンドーラが二人のディフェンダーに突っ込み、成功させた!!
同点!!!!
スーパーボール史上初のオーバータイムに突入。
コイントスで、ペイトリオッツが勝った。あとは流れに乗っているブレイディが神がかったチームメイトと共に、アメンドーラ、ホーガンの手によって敵陣近くまで押し込み、最後はホワイトがその体ごと、エンドゾーンにボールを運んだ。
ゲームセット!
恐ろしい試合になった。誰もがマット・ライアンが勝利すると思った。1億人を超える人間がそれを思っていた。しかし、トム・ブレイディだけはそれを否定していた。なんという強い精神。なんという実行力。この冷静さ。この情熱。強いアメリカを象徴するかのようだ。マット・ライアンは本当に可哀想だ。君がブレイディに劣っていたなんてことは少しも無い。チームの誰も、劣っていない。どの選手も最強のパフォーマンスを魅せていた。ファルコンズのDEのジェレミーは2回もブレイディをサックしたし、ディフェンスラインはペイトリオッツのOLに徹底的に勝ってた。フリオジョーンズはスゴイプレイを連発していて、ペイトリオッツのバックスは彼にダブルで付く必要があった。それをデコイにしてフリーマンや他のWRにパスを通す多彩な攻撃を見せた。まさに実力伯仲。
その差を決めたのは、、、
勝利の女神の存在としか言えない。
改めて思う。アメフトはおもしろい。
アメフトはすごい。
MVPはもちろん、トム・ブレイディ。彼はスーパースターだ。敗者となったマット・ライアンには少しだけしかカメラが向かなかったことは、幸いであったのかも知れない。どれだけ悔しかったろうか。
ビル・ベリチックは今日始めて笑った。高い志をもち、目標を掲げ、チームにモチベーションを与え、その課題を解決するプログラムを組み上げた。彼こそ最強のリーダーである。いつか彼の育成論をまとめた本がでるだろう。ベストセラーになることは間違いない。
最後に、この記事を乗せておく。NFL JAPAN COM。
現地5日(日)夜、ニューイングランド・ペイトリオッツのクオーターバック(QB)トム・ブレイディはまた新たな伝説を1つ作り上げた。
ブレイディがチームを25点差のビハインドからオーバータイムを経て34対28の勝利へと導き、アトランタ・ファルコンズを破ったペイトリオッツが第51回スーパーボウルの覇者となったのだ。
スーパーボウル史上、ここまで大差のついたところから逆転劇を演じた試合は前例にない。ブレイディはこれで自身4度目となるスーパーボウルMVPを受賞。5度スーパーボウルを制したQBは他に存在せず、ブレイディは幼かった頃に憧れたジョー・モンタナやテリー・ブラッドショーの記録も追い抜いた。
ポストシーズン初めてのピック6を投じるなど、前半はパフォーマンスが低迷したブレイディだったが、後半の第4クオーターには2タッチダウンを含め、4度のスコアリングドライブを決めている。ペイトリオッツがオーバータイムのトスで先攻を勝ち取ると、ブレイディが8プレーのドライブを牽引し、最後はランニングバック(RB)ジェームス・ホワイトが2ヤードから得点して試合は終了した。
ブレイディは466パスヤード、62アテンプトで43コンプリートをマークしてスーパーボウルレコードを塗り替えている。
自身スーパーボウル5度目の勝利と4度目のMVPを獲得したブレイディ。これ以上、望み得るものがあるだろうか。
シーズン開幕4試合で出場停止処分となったブレイディはキャリアベストのタッチダウン/インターセプト率を記録し、頂点に上り詰めるまでにわずか1度きりの黒星しか喫していない。スーパーボウルウイーク中、ブレイディの母親が病気と闘っており、父親がその看病をしているためにシーズン中一度も試合に来られていないと明かした時、ブレイディの今シーズンが持つ意味はより深みを増した。
試合直前にこのスーパーボウルを母に捧げるための試合にすると語っていたブレイディは、勝利を手にして全ての呪縛から解かれたときに感極まった。
試合後にチームがフィールド内で優勝を祝っている際、ブレイディは『FOX(フォックス)』のテリー・ブラッドショーに対して「皆が幸せだ。皆ここにいることが素晴らしい。今晩は素晴らしい祝勝会となりそうだ」と語っている。
そして最後に、ブレイディはファンに向けてこうコメントした。
「ファンの皆さん、ありがとう。ボストンの皆、ニューイングランドの皆も最高だ! この1年間、皆はチームとずっと一緒だった。この素晴らしい雰囲気を地元に持ち帰るよ!」